歌手、高橋真梨子(70)が、開催中のツアー「MariCovers」(24日の東京国際フォーラムまで)で、35年以上前の自身の曲を披露、ファンを魅了している。同ツアーは6月に発売された同名のセルフカバーアルバムのツアー。昭和54~59年までのアルバムから選ばれた、“隠れた”名曲に光が当たっている。
「セルフカバーは、今までやったことがない。最初の頃のアルバムを、70歳の今の自分が歌おうと」
高橋といえば、ペドロ&カプリシャス時代の「ジョニィへの伝言」(48年)や、ソロでは「桃色吐息」(59年)以降のヒット曲などが思い浮かぶ。今回は、「桃色…」以前のソロでの曲をセルフカバーした。
「一回もステージで歌ったことがない曲がほとんどだった」といい、ツアーでも、「桃色…」以降のファンは初めて生で聞く曲も多い。特に従来のライブのアンケートでリクエストが多かったにもかかわらず、ライブで歌ったことがなかった「祭りばやしが終わるまで」は、数十年越しにリクエストの夢がかなったファンもいたはずだ。
セルフカバーで目指したのは、「ピチピチじゃない感じ。ワインの熟成感みたいなものを感じてもらえたら」。夫でプロデューサーのヘンリー広瀬(75)は、「今の時代に、成熟した真梨子さんが歌ったらこうなるというイメージを膨らませて選んだ」といい、「僕自身、この選曲は良かったと思う」と自賛する。
レコーディングされたアルバムで、すでに熟成感はたっぷり醸し出されているが、6月からのライブで歌われ続け、そこにさらに新たな熟成が加わっている。70歳の今だからこその高橋の魅力、35年以上前の曲の魅力を改めて確認したい。(兼松康)