紛争地で暮らす女性や少女たちは、想像を絶する苦難に直面しています。性暴力は、彼女たちの心身を傷つけるだけでなく、コミュニティ全体を破壊する「武器」として利用されているのです。今回は、国連人口基金（UNFPA）人道支援局長の新垣尚子さんの証言を元に、紛争地における女性たちの現状と、それでも消えない希望の光について迫ります。
性暴力：恐怖と支配の道具
紛争地では、性暴力は単なる暴力行為ではなく、コミュニティ全体を恐怖と支配下に置くための戦略として用いられています。新垣さんは、世界各地の紛争地を訪れ、女性たちが日常的に性暴力にさらされている現実を目の当たりにしてきました。
紛争地で女性と話す新垣尚子さん
スーダンでは、民兵の襲来を恐れた女性たちが集団自殺する事件も発生しています。宗教的な理由から、性暴力の被害者はコミュニティに戻ることができないからです。中絶が禁止されている国では、レイプによって妊娠しても出産を余儀なくされます。このような苦難を目の当たりにした少女たちは、自ら命を絶つことを選ぶこともあると新垣さんは語ります。
教育の欠如：権利を知らない悲劇
長引く紛争は、教育の機会を奪い、女性や少女たちが自身の権利について学ぶことを阻みます。コンゴ民主共和国東部の都市ゴマでは、性暴力の被害が日常化し、少女たちはそれが異常な事態であることすら認識できない状況に陥っています。
教育を受けられないことで、情報を得る手段を失い、人間としての権利を持つことすら知らないまま成長してしまうのです。新垣さんは、女性や少女たちが無知なままの方が都合が良いと考える権力者が世界中に存在すると指摘します。
UNFPAの活動：女性たちの未来を守るために
UNFPAは、妊産婦への医療提供や危険にさらされた女性への人道支援など、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを掲げ、世界各地で活動しています。2024年には、ウクライナ、スーダン、アフガニスタン、ミャンマーなどを訪問し、女性たちの声を直接聞いてきました。
紛争下で生きる女性たちは、計り知れない苦しみを味わっています。しかし、新垣さんは「それでも希望はある」と語ります。彼女たちの未来を守るために、UNFPAは活動を続けています。国際社会の協力と支援が、今こそ必要とされています。
希望の光：未来への一歩
紛争地の女性たちは、絶望的な状況の中でも、力強く生き抜こうとしています。彼女たちの声に耳を傾け、支援の手を差し伸べることが、私たちにできる第一歩です。UNFPAの活動は、まさにその希望の光となるでしょう。
性暴力という武器をなくし、女性たちが安全に、そして尊厳を持って生きられる社会を築くために、私たち一人ひとりができることを考えていきたいものです。
