ハッピーロード大山商店街、アーケード分断で揺れる未来:再開発と都市計画道路の狭間で

池袋から東武東上線でわずか5分、駅直結のアーケード商店街として賑わうハッピーロード大山。全長560メートル、雨の日でも傘いらずでショッピングを楽しめる、まさに買い物天国として長年地元の人々に愛されてきました。しかし今、この名物商店街の未来が揺らいでいます。東京都が進める都市計画道路整備によってアーケードが分断され、商店街の関係者からは戸惑いと怒りの声が上がっているのです。今回は、ハッピーロード大山商店街の現状と課題、そして再開発事業の行方について詳しく見ていきましょう。

昭和から続く商店街の歴史とアーケード分断の現状

昭和30年代の大山商店街の様子昭和30年代の大山商店街の様子

昭和30年代、大山にはアーケードはなく、個人商店が軒を連ねていました。その後、1977年(昭和52年)に2つの商店街が合併し、全長560メートルのアーケードが完成。「ハッピーロード大山」が誕生しました。傘をささずに買い物ができる快適さは、多くの買い物客を魅了し、活気あふれる商店街へと発展を遂げました。

アーケードが途切れたハッピーロード大山商店街アーケードが途切れたハッピーロード大山商店街

しかし現在、商店街を歩くと、そのシンボルであるアーケードが突如途切れている場所があります。約70メートルほど先で再びアーケードは繋がっていますが、この分断は商店街の景観を損ね、一体感を阻害する要因となっています。

アーケード分断の背景:都市計画道路整備と再開発事業

大山駅周辺の再開発の様子大山駅周辺の再開発の様子

アーケード分断の背景には、大山駅周辺で進む大規模な再開発事業と、東京都が長年計画してきた都市計画道路整備があります。再開発事業では、4棟のタワーマンション建設が計画され、駅に近い2棟は既にほぼ完成しています。一方、都市計画道路は山手通りと川越街道を繋ぐもので、ハッピーロード大山商店街を180メートルにわたって分断する形で建設が予定されています。

商店街を分断する形で計画されている都市計画道路商店街を分断する形で計画されている都市計画道路

しかし、2025年2月14日現在、東京都の用地取得率は約51%にとどまっており、着工時期は未定となっています。東京都担当部局は「できるだけ早い時期に」と回答するにとどまり、具体的な時期については明言を避けています。不動産ジャーナリストの山下務氏は、「大山の場合は再開発が主導であり、道路整備は従であるため、道路建設は後回しになっている可能性が高い」と指摘しています。

地元からの反発:着工未定でのアーケード撤去に怒りの声

地元スーパー「コモディイイダ」の飯田武男社長地元スーパー「コモディイイダ」の飯田武男社長

ハッピーロード大山で地元密着型のスーパーを経営するコモディイイダの飯田武男社長は、着工時期が未定の段階でアーケードが撤去されたことに対して強い憤りを表明しています。「道路建設の時期もわからないのに、なぜアーケードを壊すのか理解できない。道路ができるときに壊すならわかるが、用地買収も終わっていないのに、なぜこのような事態になっているのか」と、東京都の対応に疑問を呈しています。

雨に濡れるハッピーロード大山商店街雨に濡れるハッピーロード大山商店街

ハッピーロード大山商店街は、再開発と都市計画道路整備という大きな転換期を迎えています。商店街の魅力を守りながら、新たな街づくりを進めていくためには、東京都と商店街関係者、そして地域住民との丁寧な対話と合意形成が不可欠です。今後の動向に注目が集まります。