米国での艦艇建造市場拡大を背景に、韓国造船業界が米国市場への進出を加速させています。この記事では、韓国造船大手の動向や市場の展望、そして米韓協力の現状について詳しく解説します。
米国艦艇市場の巨大なポテンシャル
米海軍は2054年までに艦艇数を295隻から390隻に増やす計画を立てています。この計画に必要な費用は1兆750億ドル(約161兆円)と試算され、今後30年間で1600兆ウォン規模の巨大市場が形成されると予想されています。
韓国造船所
この巨大な市場機会に、韓国造船業界は大きな期待を寄せています。特に、トランプ前大統領が韓国造船業との協力を重視していたことから、韓国企業は米国での投資拡大を積極的に検討しています。
韓国造船大手の戦略
HD現代重工業は、米海軍艦艇の建造と維持・補修・整備(MRO)事業への協力を強化することで、米国の国防力強化に貢献できることを強調しています。同社は、米国内への投資も視野に入れており、長期的な視点で市場開拓に取り組んでいます。
ハンファオーシャンは、既に米海軍艦艇2隻のMRO事業を受注しており、フィリー造船所の買収を通じて北米地域での戦略的拠点を確保しています。HD現代もMRO事業への参入を計画しており、複数のドックスロットを確保済みです。
米韓協力の現状と課題
米韓造船協力の進展には、米議会の協力が不可欠です。現在、米国では「バーンズ・トレフソン法」によって海軍艦艇を外国造船所で建造することが禁止されています。しかし、同盟国への艦艇建造委託を容認する法案が提出されており、韓国企業の受注への期待が高まっています。
ハンファグループの造船所
米国が法改正を検討する背景には、中国の海洋進出への警戒感があります。中国は海軍力を急速に増強しており、艦艇数は既に米国を上回っています。米国政府は、国内の造船能力だけでは艦艇増強に限界があると認識しており、韓国や日本などの同盟国との協力を強化する方針です。
専門家の見解
ソウル大学のキム・ヨンファン教授は、「バーンズ・トレフソン法が改正されても、米国政府は国内での艦艇建造を優先する可能性が高い」と指摘し、韓国造船業界は米国への現地投資を検討する必要があると提言しています。
今後の展望
韓国造船業界は、米国市場への進出を加速させており、巨大な艦艇建造市場での受注獲得を目指しています。米韓協力の進展や中国の動向など、今後の市場動向に注目が集まります。