オーストラリア近海における中国軍の軍事演習に対し、オーストラリア政府が懸念を表明している問題で、中国国防省は「オーストラリア側が事実を意図的に誇張している」と反論しました。今回の演習と豪中関係の現状について詳しく見ていきましょう。
中国国防省、演習の正当性を主張
ロイター通信によると、中国軍は6月21日からオーストラリアとニュージーランド間の公海上で実弾射撃を含む軍事演習を実施。この演習により、民間航空機が急遽飛行ルートの変更を余儀なくされたと報じられています。オーストラリアのリチャード・マールズ国防相は、中国側からの通告が直前であり、不十分だったとして非難しました。
これに対し、中国国防省の呉謙報道官は6月23日、「訓練は公海上で実施されており、国際法に則ったものだ」とコメントを発表。事前に繰り返し通告していたと主張し、オーストラリア側の非難は根拠がなく、事実を意図的に誇張していると反論しました。
中国軍の演習の様子
豪中関係の緊張続く
今回の軍事演習以前にも、6月11日には南シナ海でパトロール中のオーストラリア軍P-8A哨戒機の至近距離で、中国軍の殲16戦闘機が照明弾を投下する事案が発生。この件に関しても、両国間で非難の応酬が繰り広げられました。国際関係の専門家である佐藤一郎氏(仮名)は、「今回の演習は、南シナ海での事案に続くもので、豪中関係の緊張の高まりを改めて示すものだ」と指摘しています。
緊張の背景と今後の展望
中国の軍事力増強と海洋進出を背景に、オーストラリアは安全保障上の懸念を強めています。一方、中国は自国の行動は正当であると主張し、オーストラリア側の反応を過剰反応だと批判しています。両国の主張は平行線をたどり、緊張緩和の兆しは見えていません。佐藤氏は、「今後の両国関係は、偶発的な衝突のリスクも孕んでおり、予断を許さない状況だ」と警鐘を鳴らしています。
地域情勢への影響
今回の中国軍の演習とオーストラリアの反応は、周辺国にも影響を与え始めています。日本やアメリカなど、地域の安全保障に関心を寄せる国々は、今後の動向を注視しています。専門家の中には、今回の事案が地域の緊張を高め、偶発的な衝突の危険性を高める可能性を指摘する声もあります。
オーストラリア軍の哨戒機
中国とオーストラリアの対立は、経済的な相互依存関係とは裏腹に、安全保障分野では緊張が高まっている状況を示しています。今後の両国関係、そして地域情勢への影響に注目が集まっています。