ニューヨークの高級レストランで実感した円安と中国パワー

ニューヨーク、マンハッタンの煌びやかな夜景を眺めながら、贅沢なディナーを楽しむ…そんな憧れを抱く方も多いのではないでしょうか。今回は、筆者が実際に体験したニューヨークのミシュラン二つ星レストランでの出来事を通して、円安の現実と中国経済の力強さを改めて感じさせられた体験談をお届けします。

円安と物価高の洗礼

3週間のニューヨーク滞在中、まず痛感したのは物価の高さです。ニューヨーカーでさえ苦しんでいる物価高ですが、円安と低賃金が重なる日本人にとってはまさに試練。倹約生活を送りながらも、バレンタインデーという特別な日には、思い切ってミシュラン二つ星レストランでディナーを堪能することにしました。

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しかし、その価格はワイン抜きで1人6万円以上!星獲得前に比べて倍以上になっているそうで、市場原理とはいえ、財布には優しくありません。

高級レストランを席巻する中国人富裕層

満席の店内を見渡すと、ほとんどが若い中国人カップルで占められていました。ビジネス客は1組だけで、残りは全てカップル。しかも8割以上が中国人、さらにそのほとんどが20代という現実に驚愕しました。

高級レストラン業界に精通する知人によると、彼らはニューヨーク大学(NYU)の自費留学生が多いとのこと。家賃も物価も高騰するニューヨークでの生活は、莫大な費用がかかります。米国政府による中国人留学生の入国制限の影響で留学生数は減少しているものの、それでもなお、子弟を米国に留学させる中国の富裕層は後を絶たないようです。米国の大学卒業というステータスは、数億円もの価値があると評価されているという話も耳にしました。

NYUと高級レストランの蜜月

NYUの中国人留学生は、日常的に高級レストランを利用するなど、潤沢な資金力を持っているようです。ニューヨークの高級レストランにとって、彼らはまさに上顧客。「NYUに足を向けては寝られない」という声も聞こえてくるほど、その存在感は絶大です。

米中対立の激化により、中国人観光客や留学生が減少すれば、高級レストラン業界は大打撃を受けることは間違いありません。

日本への影響と課題

日本でも、2024年1月の訪日外国人旅行者数は過去最高の378万人を記録し、特に中国からの観光客は前年の2.3倍超の98万人にも達しました。これは喜ばしいことですが、同時に懸念されるのは、市場原理に基づいて日本のレストラン価格も高騰し、庶民が気軽に美味しいものを楽しめなくなる可能性です。

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一方で、中国からの観光客は日本の景気を支える重要な存在です。米国のような経済的自立力に欠ける日本にとって、中国との良好な関係を維持することは不可欠と言えるでしょう。

レストランの厨房を支えるラテン系移民

今回訪れたレストランはオープンキッチンで、厨房の様子がよく見えました。そこで気づいたのは、働いている人のほとんどがラテン系であること。シェフはメキシコ人でしたが、白人シェフの店でも厨房スタッフはラテン系が多いそうです。これは、米国社会における移民労働力の重要性を示す一例と言えるでしょう。

グローバル経済の現実を目の当たりにして

ニューヨークのミシュランレストランでの体験は、円安の厳しさ、中国経済の力強さ、そしてグローバル経済における様々な課題を改めて認識する機会となりました。今後の世界経済の動向に、より一層注目していく必要性を感じています。