プーチン大統領、レアアース共同開発で米国に秋波 ウクライナ侵攻3年

ウクライナ侵攻開始から3年を迎えた2025年2月24日、プーチン大統領はロシア国営テレビのインタビューに応じ、ウクライナ侵攻の現状と今後の展望について語りました。中でも注目を集めたのは、レアアースの共同開発をアメリカ合衆国に呼びかけたことです。

レアアース共同開発の提案

プーチン大統領は、「ロシアはウクライナよりもはるかに豊富なレアアース埋蔵量を保有している」と強調。一方的に併合を宣言したウクライナ4州を含む地域でのレアアース共同開発をアメリカに提案しました。「新領土を含め、米国など外国企業と協力する用意がある」と述べ、経済制裁下にあっても資源開発という共通の利益を追求する姿勢を示しました。

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この提案の背景には、アメリカがウクライナと希少資源に関する協定を協議していることへの対抗措置という側面があると見られています。プーチン大統領は、対ロシア制裁を「違法で、科した側にも有害だ」と批判しつつ、すでに米ロ企業間で大規模な経済協力に関する協議が進んでいることを明らかにしました。「ディール」(取引)を重視するトランプ前大統領へのアピールも意識していると考えられ、ロシアとの関係修復のメリットを強調することで、アメリカ側の出方を探っているようです。

制裁への反論と経済協力の展望

プーチン大統領はインタビューの中で、西側諸国による経済制裁の効果を否定し、ロシア経済の底堅さをアピールしました。同時に、制裁は諸国間の経済関係を阻害し、世界経済に悪影響を与えていると主張。資源開発における国際協力の重要性を訴え、アメリカとの関係改善に意欲を示しました。

専門家の間では、プーチン大統領の発言は、国際社会における孤立化を回避し、経済的優位性を確保するための戦略的な動きと分析されています。モスクワ国立大学のイワノフ教授(国際関係論)は、「プーチン大統領は、レアアースという切り札を使って、アメリカとの関係改善の糸口を探っている」と指摘しています。

今後の展開

プーチン大統領の提案に対し、アメリカ政府は公式な反応を示していません。しかし、専門家の中には、アメリカ企業がロシアとの経済協力に魅力を感じ、政府に圧力をかける可能性を指摘する声もあります。今後の米ロ関係、そしてウクライナ情勢の行方に、世界中の注目が集まっています。