近年、増加の一途をたどる不登校。その背景には、様々な事情を抱える子どもたちと、彼らを支える保護者の苦悩があります。今回は、不登校を取り巻く現状と、保護者が直面する「壁」について深く掘り下げていきます。
経済的な負担：フリースクールという選択肢とその費用
文部科学省の調査によると、フリースクールの平均月額費用は約3万3千円。しかし、スクールの種類やサービス内容によって費用は大きく変動します。公立中学校に籍を置きながら、週3回N中等部（角川ドワンゴ学園運営）に通う中学2年生の娘を持つ神奈川県の40代男性は、月々約7万円の費用負担を強いられています。
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私立学校に通う子どもの不登校の場合、学費とフリースクール代の二重負担は大きな課題です。経済的な理由から、フリースクールへの通学を諦める家庭も少なくありません。また、兄弟姉妹が同時に不登校となるケースでは、費用負担はさらに増大し、家計を圧迫する深刻な問題となっています。「子どもたちの未来のために、教育費を惜しみたくない」という親心と、現実的な経済状況との間で、多くの保護者が葛藤を抱えています。
地域格差：フリースクールがない地域での苦悩
経済的な負担に加え、通学圏内にフリースクールがないという地域格差も深刻な問題です。千葉県に住む40代女性は、小学4年生の息子が不登校になったものの、近くに適切な居場所が見つからず、仕事の日は息子を留守番させているといいます。オンライン授業の実施など、地域や学校によって支援体制に差がある現状に、彼女は強い憤りを感じています。
低年齢化：気持ちを言葉にできない子どもたちへの対応
不登校の低年齢化も深刻な問題です。東京都の30代女性は、小学1年と4年の息子たちが不登校となり、2人分のフリースクール代で月6万円の費用がかかっています。子どもたちはまだ幼く、学校に行きたくない理由をうまく言葉で説明することができません。保護者は、子どもたちの気持ちを理解しようと努めるものの、そのもどかしさに苦悩しています。
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専門家の声：子どものSOSを見逃さないために
教育カウンセラーの山田先生（仮名）は、「低年齢の子どもの不登校は、SOSのサインである可能性が高いです。保護者は、子どもたちの些細な変化も見逃さず、丁寧に寄り添うことが大切です」と指摘します。子どもたちが安心して自分の気持ちを表現できる環境づくりが、不登校解決の第一歩と言えるでしょう。
不登校は、子ども自身だけでなく、家族全体の課題です。経済的な支援、地域における居場所づくり、そして、子どもたちの心に寄り添うためのサポート体制の拡充など、多角的な取り組みが求められています。
