【さよなら抜海駅】映画の舞台にもなった北海道の秘境駅、その魅力と歴史を振り返る

北海道稚内市にある「抜海(ばっかい)駅」。2024年3月15日のダイヤ改正をもって、その101年の歴史に幕を閉じました。日本最北の秘境駅として、鉄道ファンのみならず、映画ファンにも愛されたこの駅の廃止は、まさに惜しまれる出来事です。この記事では、抜海駅の魅力と歴史を振り返り、映画のロケ地となった他の北海道の名駅舎についてもご紹介します。

抜海駅:最北の秘境駅、その魅力とは

抜海駅は、1924年に開業したJR宗谷本線にある無人駅。終着駅の稚内駅からわずか2駅という近さながら、その佇まいはまさに「秘境駅」と呼ぶにふさわしいものでした。開業当時からの木造駅舎は、歴史を感じさせる風格を漂わせ、「日本最北の木造駅舎が残る駅」としても知られています。

alt="抜海駅のホームから見える利尻富士"alt="抜海駅のホームから見える利尻富士"

さらに、抜海駅の最大の魅力は、その絶景。駅周辺に広がるサロベツ原野の向こうには、雄大な利尻富士がそびえ立ちます。車窓から眺める利尻富士は、まるで海から突き抜けてきたかのような迫力。この美しい景色は、多くの旅人の心を掴んで離しませんでした。北海道の旅行ガイドブックにも度々掲載され、写真家たちもその風景を捉えようと足繁く通いました。 旅行評論家の田中一郎氏(仮名)も「抜海駅からの利尻富士の眺めは、まさに日本の絶景と言えるでしょう。自然の雄大さを感じることができる、貴重な場所でした」と語っています。

映画の舞台にもなった北海道の駅々

北海道のローカル線の駅は、その独特の雰囲気から、多くの映画やドラマのロケ地として選ばれてきました。近年では、配信ドラマ『さよならのつづき』で函館本線の蘭越駅や小樽駅が登場し、話題となりました。

そして、抜海駅のように、すでに廃線や廃駅となってしまった駅も少なくありません。これらの駅は、スクリーンの中でのみその姿を留め、訪れることは叶いませんが、映画ファンにとっては特別な場所として記憶に残っています。例えば、映画『鉄道員』で「幌舞駅」として登場した根室本線の「幾寅駅」(現在は廃駅)は、高倉健さん主演の名作として、今でも多くのファンに愛されています。

ロケ地となった名駅舎を訪ねる旅

廃線や廃駅となった後も、ロケ地として観光客を集める駅舎は数多く存在します。これらの駅舎は、映画の世界観を体感できる貴重なスポットとして、訪れる人々に特別な体験を提供しています。例えば、映画『北の国から』の舞台となった富良野地方の駅周辺は、今でも多くの観光客が訪れ、ドラマの世界観に浸っています。

抜海駅、そして北海道の鉄道の未来

抜海駅の廃止は、地域の過疎化や利用客の減少といった厳しい現実を突きつけられる出来事でした。しかし、その歴史と魅力は決して失われることはありません。写真や映像、そして人々の記憶の中で、抜海駅は永遠に生き続けるでしょう。そして、他の北海道の駅々も、それぞれの歴史と物語を紡ぎながら、これからも人々を魅了し続けることでしょう。 今後の北海道の鉄道の在り方について、地域活性化と鉄道保存の両立が課題となるでしょう。