郵便局員の過酷なノルマとプレッシャー:年賀状販売の裏側

郵便局員として働くことのやりがいは、地域の人々と繋がり、大切な手紙や荷物を届けること。しかし、その裏側には過酷なノルマとプレッシャーが存在する現実があります。今回は、さいたま新都心郵便局で起きた悲劇を通して、郵便局員の労働環境について深く掘り下げていきます。

過酷なノルマに苦しむ郵便局員

2007年の郵政民営化後、郵便局では様々な問題が発生しています。中でも、郵便局員を苦しめているのが過剰なノルマとプレッシャーです。今回ご紹介するKさんの夫も、その一人でした。

Kさんの夫は20年以上、街の郵便屋さんとして地域に貢献してきました。しかし、さいたま新都心郵便局への異動をきっかけに、彼の状況は一変します。さいたま新都心局は、合理化のモデル局として、厳しいノルマと高圧的な指導が行われていました。

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(画像はイメージです:配達中の郵便局員)

年賀状販売ノルマの重圧

特に負担が大きかったのは、年賀はがきの販売ノルマでした。一人あたり7000~8000枚というノルマは、配達業務だけでも多忙な郵便局員にとって、大きな負担となっていました。Kさんの夫も、ノルマ達成のために自腹で購入する「自爆営業」を余儀なくされていました。自宅には、使わない年賀はがきが山積みになっていたといいます。

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(画像はイメージです:年賀状を選ぶ人々)

高圧的な指導と「お立ち台」

厳しいノルマに加え、上司からの高圧的な指導も問題でした。さいたま新都心局には「お立ち台」と呼ばれる台があり、ミスをした局員は、数百人の前で謝罪をさせられることもあったそうです。Kさんの夫も、この「お立ち台」の存在に怯えていたといいます。

家族からの手紙

Kさんの長女は、当時小学1年生。多忙な父親を気遣い、手紙を書きました。「お仕事大変でしょ。郵便のお仕事って雨の日も風の日も雷の日も働かないといけないんだよね。」幼い娘からの手紙は、Kさんの夫にとってどれほどの慰めになったでしょうか。

働きがいのある職場を目指して

過酷なノルマや高圧的な指導は、郵便局員のメンタルヘルスに深刻な影響を与えます。郵便局が地域社会にとって重要な役割を担っているからこそ、郵便局員が安心して働ける環境づくりが急務です。

「郵便局員の労働環境改善は、サービスの質向上にも繋がる」と人事コンサルタントの山田氏は指摘します。郵便局員が心身ともに健康でなければ、質の高いサービスを提供することは難しいでしょう。

郵便局は、ノルマの見直しや、より人間的な職場環境の整備など、抜本的な改革が必要です。誰もが安心して働ける職場環境の実現に向けて、私たち一人ひとりが問題意識を持つことが大切です。