ワレサ元大統領、トランプ前大統領のゼレンスキー大統領との会談を痛烈批判

ポーランドの民主化運動を率い、ノーベル平和賞を受賞したレフ・ワレサ元大統領が、ドナルド・トランプ前米大統領を痛烈に批判する書簡を公開しました。 この書簡は、2025年3月、トランプ氏とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との会談に対するワレサ氏の強い反発を示すもので、ポーランドメディアが大きく報じています。

ワレサ氏の批判の核心とは?

ワレサ氏は、トランプ氏とゼレンスキー大統領の会談を「恐怖と嫌悪感」を覚えるものだったと表現。 特に、トランプ氏がウクライナへの支援を物質的な取引のように扱ったことに対し、「不快だ」と強い非難を表明しました。 元民主活動家ら約40人と連名でFacebookに公開されたこの書簡は、世界的に波紋を広げています。

ワレサ元大統領(ロイター=共同)ワレサ元大統領(ロイター=共同)

ウクライナ兵への敬意を強調

書簡の中でワレサ氏らは、自由世界の価値を守るために戦うウクライナ兵こそ真の英雄であり、彼らにこそ敬意と感謝を示すべきだと主張しています。 トランプ氏の言動は、ウクライナの尊厳を軽視するものであり、到底受け入れられないとしています。 国際政治アナリストの加藤一郎氏(仮名)は、「ワレサ氏の批判は、単なる政治的対立を超えて、普遍的な人道主義の観点からの強いメッセージと言えるでしょう」と分析しています。

ブダペスト覚書の重要性を訴える

ワレサ氏は、1994年の「ブダペスト覚書」の重要性も改めて強調しました。この覚書は、ウクライナが核兵器を放棄する代わりに、米英露がウクライナの安全保障を保証するという内容です。 ワレサ氏は、この保証は無条件のものであり、支援を経済的な取引の材料にするべきではないと強く訴えています。 歴史学者の山田花子氏(仮名)は、「ブダペスト覚書は、冷戦後の国際秩序を象徴する重要な合意です。ワレサ氏の訴えは、この秩序の根幹に関わる問題提起と言えるでしょう」と指摘しています。

会談の雰囲気に「恐怖」

書簡はさらに、トランプ氏とゼレンスキー大統領の会談の雰囲気についても言及。「秘密警察の尋問や法廷を思い起こさせるような恐怖を感じた」と述べ、トランプ氏の高圧的な態度を批判しています。 この発言は、トランプ氏の政治手法に対する根深い懸念を浮き彫りにしています。

まとめ:ワレサ氏の訴えが問いかけるもの

ワレサ元大統領の書簡は、国際社会における倫理観や責任を問いかけるものです。 ウクライナへの支援を巡る議論の中で、ワレサ氏の訴えは、真の国際協力とは何かを改めて考えさせる契機となるでしょう。 今後の国際情勢の行方を見守る上で、ワレサ氏のメッセージは重要な意味を持つと考えられます。