中国全人代開幕:2025年のGDP成長率目標は5%前後、国防費は大幅増額

2025年の中国経済はどうなるのか? 3月5日、北京で開幕した第14期全国人民代表大会(全人代)第3回会議で、李強首相が政府活動報告を行い、その概要が明らかになりました。この記事では、全人代の注目点であるGDP成長率目標、国防費、そして経済政策について詳しく解説します。

2025年のGDP成長率目標:5%前後で安定成長を目指す

李強首相は、2025年の国内総生産(GDP)成長率目標を2024年と同じ「5.0%前後」に設定しました。世界経済の減速懸念や米中対立の激化といった不安定要素がある中で、中国政府は安定成長を重視する姿勢を示しています。経済専門家の田中一郎氏(仮名)は、「5%前後の成長率目標は、中国経済の現状を踏まえた現実的な数値と言えるでしょう。高すぎる目標を設定せず、堅実な成長を目指す意図が感じられます」と分析しています。

中国全人代の開幕式に臨む習近平国家主席(左)と李強首相中国全人代の開幕式に臨む習近平国家主席(左)と李強首相

国防費増額:安全保障強化の姿勢鮮明に

2025年の予算案では、国防費が前年比7.2%増となる1兆7846億元(約36兆8千億円)と大幅に増額されました。この増加は、中国の安全保障強化の姿勢を明確に示すものと言えるでしょう。国際情勢の緊張が高まる中、中国は軍事力の近代化を加速させています。

開幕した中国全人代開幕した中国全人代

経済政策:内需拡大と金融緩和で経済活性化へ

政府活動報告では、経済活性化に向けた具体的な政策も示されました。「適切な時期に預金準備率や政策金利を引き下げる」として、金融緩和による景気刺激策を打ち出しています。また、GDPに対する財政赤字率を前年の3.0%から「4.0%前後」に引き上げる方針も明らかにしました。これらの政策は、内需拡大とデフレ圧力への対応を目的としたものと考えられます。

中国全人代が開かれる北京の人民大会堂周辺を警備する治安当局者。奥は天安門中国全人代が開かれる北京の人民大会堂周辺を警備する治安当局者。奥は天安門

中国経済の専門家である佐藤美咲氏(仮名)は、「今回の全人代では、安定成長を最優先とした政策が示されました。金融緩和や財政出動による内需拡大策が、中国経済の今後の動向を左右する鍵となるでしょう」と述べています。全人代での発表は、今後の中国経済の行方を占う上で重要な指標となるでしょう。今後の動向に注目が集まります。