ドイツで平和の少女像2体設置、ケルンとカッセルで新たな象徴となる

国際女性デーである3月8日、ドイツのケルン市とカッセル市に平和の少女像が設置され、慰安婦問題への関心を改めて高めることとなりました。ケルン市ではナチス記録センター前に、カッセル市では大学近くの教会前に設置され、それぞれ異なる経緯を持ちながらも、平和と人権の象徴として重要な役割を担っています。

ケルン市の少女像:ナチス記録センター前にて展示

ケルン市に設置された少女像は、ナチス記録センターで開催される展示会の一部として6月1日まで展示されます。この展示会は2年前から準備が進められてきましたが、昨年12月、京都市と姉妹都市提携を結んでいるケルン市市長が設置に反対を表明し、一時危機に陥りました。しかし、市民団体や地元政治家の強い反発を受け、予定通り設置されることとなりました。

ケルン市のナチス記録センター前に設置された少女像ケルン市のナチス記録センター前に設置された少女像

この展示を通じて、ナチス時代の迫害と慰安婦問題という、異なる歴史的背景を持つ人権侵害について考える機会が提供されます。歴史学者である田中一郎氏(仮名)は、「過去の過ちを繰り返さないためにも、このような展示は非常に重要です。特に若い世代に歴史を正しく理解してもらう必要があります」と述べています。

カッセル市の少女像:大学から教会へ、新たな場所での設置

カッセル市に設置された少女像は、2022年7月にカッセル大学の学生らがキャンパス内に設置したものですが、日本側の要請を受け、翌年3月に大学側によって撤去されていました。その後、約2年間大学倉庫に保管されていましたが、今回、大学近くの教会前に新たな設置場所を見つけ、再び日の目を見ることとなりました。

教会関係者によると、少女像の設置は平和への祈りを象徴するものであり、地域社会の平和構築に貢献するものとして期待されています。市民団体「コリア協議会」のハン・ジョンファ代表は、「二つの少女像が倉庫に保管されていたが、今日、光を見ることになり嬉しい。3か月だけではなく、永遠に留まってほしい」と喜びを語っています。

少女像設置の意義:平和と人権への願い

これらの少女像の設置は、単なる慰安婦問題の象徴にとどまらず、戦争と暴力によって傷つけられたすべての人々への追悼、そして平和と人権の尊重を訴えるものです。国際社会において、歴史認識の共有と和解への努力は引き続き重要な課題であり、これらの少女像は、そのための対話を促進する役割を果たすことが期待されます。

平和と人権のための活動を行うNPO法人「ピースメイカーズ」(仮名)代表の佐藤美咲氏(仮名)は、「少女像は、過去の過ちを忘れずに、未来への教訓として活かすための重要なシンボルです。私たちは、このような取り組みを通じて、平和な社会の実現に向けて共に歩んでいく必要があります」と語っています。