ダ・ヴィンチが設計? スフォルツァ城の秘密トンネル、最新技術で発見!

レオナルド・ダ・ヴィンチは、芸術家、科学者としてだけでなく、軍事建築や防衛システムの専門家としても知られています。彼の設計はルネサンス期の戦争戦略に革新をもたらしました。今回、ミラノのスフォルツァ城地下で、ダ・ヴィンチのスケッチに描かれていたとされる秘密の通路が発見され、大きな話題となっています。この記事では、最新技術を用いた調査によって明らかになった、スフォルツァ城の秘密トンネルの謎に迫ります。

最新技術で蘇る、ダ・ヴィンチの痕跡

ミラノ工科大学の研究チームは、2021年から2023年にかけて、15世紀に建造されたスフォルツァ城の地下構造をデジタル化するため、地中透過レーダーやレーザースキャンなどの非破壊検査を実施しました。その結果、これまでダ・ヴィンチのスケッチから推測されるのみだった秘密トンネルの存在がついに確認されたのです。ミラノ工科大学のフランチェスカ・ビオロ氏によれば、ダ・ヴィンチが城の建築にどの程度関わっていたかは不明ですが、今回の発見は「この偉大な思想家がスフォルツァ城の歴史と建築開発に与えた影響を示すもの」だとしています。

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秘密トンネルの構造と目的

研究チームは当初、城の外壁「ギルランダ」の地下にある、観光客にも公開されている地下通路の調査を目的としていました。しかし、調査を進めるうちに、地表から約1メートルの深さに、もう一つの秘密トンネルが存在することが明らかになったのです。この第2のトンネルは、第1のトンネルと並行して存在しており、敵の侵入から城を守るための隠し通路として使用されていたと考えられています。兵士たちは、この秘密ルートを使ってギルランダを守り、敵から奪還することができたのでしょう。

ダ・ヴィンチの設計とスフォルツァ公の悲しみ

今回の調査では、複数のトンネルが発見されました。ほとんどがレンガ造りでアーチ状の天井を持つ筒形ボールト構造となっています。興味深いことに、そのうちの一つはサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の方向へ向かっていました。この教会には、1494年から1498年までミラノ公国を支配したルドビーコ・スフォルツァ公の妻が埋葬されています。歴史文献によれば、このトンネルは、妻を亡くしたスフォルツァ公が墓参りのために建設したと伝えられています。実際に教会につながっているかどうかは、今後の調査で明らかになるでしょう。ビオロ氏によると、トンネル以外にも地下室も発見されているとのことです。軍事専門家である田中一郎氏(仮名)は、「ダ・ヴィンチが軍事施設設計に精通していたことはよく知られています。このトンネルも彼の設計によるものならば、当時の最先端技術が駆使されていたはずです」とコメントしています。

失われた歴史の痕跡

スフォルツァ城は、現在の約6倍の広さがあったとされています。現在、地上に残る建物だけでも約4万平方メートルに及びます。ナポレオン戦争時代と19世紀末には、城の大規模な解体と修復が行われました。ビオロ氏は、「全てが失われたわけではなかったことが分かった」と述べ、「この地下には、様々な時代の我々の過去の痕跡が眠っている」と期待を寄せています。研究チームは、地下構造をさらに発掘できる可能性があるとみていますが、全てを地図化することは現実的ではないとしています。

スフォルツァ城の未来

今回の発見は、スフォルツァ城の歴史とダ・ヴィンチの業績を解き明かす上で重要な一歩となるでしょう。今後の調査によって、さらに多くの秘密が明らかになることが期待されます。スフォルツァ城は、単なる歴史的建造物ではなく、未来へと続くタイムカプセルなのかもしれません。