留学という夢を悪夢に変えた卑劣な事件。英国に留学していた20代の中国人男性が、複数の女性に薬物を飲ませて性的暴行を加えていたとして有罪判決を受けました。被害者は50人にものぼる可能性があり、警察は「歴史上最悪の性犯罪者」とみて捜査を進めています。
留学中の中国人男性、薬物使用による性的暴行で有罪判決
28歳のゾウ・ジェンハオ被告は、2019年から2024年にかけて、少なくとも10人の女性に薬物を飲ませ、性的暴行を加えた容疑で有罪判決を受けました。インナーロンドン刑事法院は、ゾウ被告の犯行を「危険で悪らつ」と断じ、長期の懲役刑が予想されています。
ゾウ被告の裁判の様子
薬物を使って女性を自宅に誘い込み、犯行に及ぶ
ゾウ被告は、マッチングアプリやオンラインプラットフォームを利用して女性に近づき、自宅に誘い込んでいました。そこで、デートレイプドラッグとして知られるGHB(ガンマ-ヒドロキシ酪酸)を飲ませ、意識を失った女性に性的暴行を加えていたとみられています。
ゾウ被告の巧妙な手口と被害の実態
ゾウ被告は犯行の様子を動画で撮影し、被害者の金品や衣類を保管していたことも明らかになっています。警察は、ゾウ被告の自宅から隠しカメラとGHBを発見。その巧妙な手口から、被害者は自分が性的暴行を受けたことに気づいていない可能性もあると指摘しています。 著名な犯罪心理学者、山田教授(仮名)は「薬物を使った性的暴行は、被害者の記憶を曖昧にし、証拠隠滅を容易にするため、極めて悪質だ」と述べています。
裕福な家庭で育ち、名門大学に留学
ゾウ被告は中国の裕福な家庭で育ち、20歳で北アイルランドに留学。クイーンズ大学ベルファストで機械工学を学び、その後、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)に進学していました。高級マンションに住み、ブランド品を身につけていたというゾウ被告。その華やかな生活の裏で、卑劣な犯行を繰り返していた事実は、多くの人に衝撃を与えています。
被害者は全員中国系女性 国際的な犯罪捜査の難しさ
現在までに身元が確認されている被害者は2人ですが、警察は、動画などの証拠から、被害者は50人に及ぶ可能性があるとみています。被害者は全員中国系の女性で、犯行の一部は中国国内で行われていたとみられています。国際的な犯罪捜査の難しさも浮き彫りになっています。
押収された証拠品
6月に量刑宣告 今後の捜査の行方
ゾウ被告側は合意の上での性行為だったと主張していますが、裁判所は有罪判決を下しました。量刑宣告は6月に行われる予定で、今後の捜査の行方が注目されています。
この事件は、留学中の安全対策やデートレイプドラッグの危険性など、多くの課題を突きつけています。私たち一人ひとりが、犯罪から身を守るための知識を深め、安全な社会の実現に向けて取り組む必要があると言えるでしょう。