日本の主食であるお米。日本人にとってはお馴染みのこの食材が、今、国際的な貿易摩擦の火種となっています。アメリカ、ホワイトハウスのレビット報道官は、日本が米に700%もの関税をかけていると批判しました。果たしてこの数字は正しいのでしょうか?そして、その背景には何があるのでしょうか?この記事では、日米の米をめぐる関税問題について、分かりやすく解説していきます。
日米の米関税:700%の真相
2025年3月11日、ホワイトハウスのレビット報道官は会見で日本のコメ関税を批判しました。「日本がコメに700%の関税を課しているのを見てください」と述べ、貿易相手国と同等の関税を課す「相互主義」の導入を示唆しました。700%という数字は衝撃的ですが、これはどのように算出されたのでしょうか?
実は、日本のコメ関税は複雑な仕組みになっています。WTO(世界貿易機関)協定に基づく関税に加え、国内の米農家を保護するための「マークアップ」と呼ばれる追加関税が上乗せされています。このマークアップを含めた実効関税率が、700%に相当するとアメリカ側は主張しているのです。
ホワイトハウスのレビット報道官
日本の立場:食料安全保障の観点
一方、日本は食料安全保障の観点から、コメの国内生産を維持する必要があると主張しています。コメは日本の主食であり、自給率の低下は食料供給の不安定化につながる可能性があります。そのため、関税によって輸入米価格を高く設定し、国内産米の競争力を守っているのです。
農林水産省の資料によると、日本のコメ自給率は9割を超えています。これは、食料安全保障の観点からは重要な指標です。しかし、高齢化による農業人口の減少や耕作放棄地の増加など、日本の農業は多くの課題を抱えています。
アメリカの思惑:市場開放への圧力
アメリカは世界有数の米輸出国であり、日本市場へのアクセス拡大を強く求めています。高い関税は、アメリカ産米の価格競争力を阻害する要因となっています。レビット報道官の発言は、日本に対して市場開放への圧力をかける狙いがあると見られます。
アメリカは、日本だけでなく、カナダやインドなどに対しても高い農産物関税を批判しています。これは、トランプ前大統領時代に掲げられた「アメリカ第一主義」に基づく貿易政策の一環と言えるでしょう。
今後の展望:日米貿易交渉の行方
日米両国は、貿易摩擦の解消に向けて協議を続けています。コメ関税の問題は、今後の交渉の重要な焦点となるでしょう。日本は、食料安全保障の重要性を訴えつつ、アメリカとの妥協点を探る必要があります。
食料安全保障と自由貿易のバランス。これは、世界各国が直面する難しい課題です。日米の米をめぐる関税問題は、この課題を象徴的に示しています。今後の交渉の行方に注目が集まります。
専門家の見解
フードビジネスコンサルタントの山田一郎氏は、「今回のアメリカの批判は、日本への圧力であることは間違いないでしょう。しかし、日本も食料安全保障の観点を軽視することはできません。双方が歩み寄り、互いに納得できる解決策を見つけることが重要です。」と述べています。