米国では、中国との軍事的緊張が高まる中、海軍力の増強が喫緊の課題となっています。その中で、同盟国である日本と韓国の造船能力を活用すべきだという声が、米国の専門家の間で高まっているのです。
米専門家、同盟国との連携強化を提言
米戦略国際問題研究所(CSIS)は、「船舶戦争」と題した報告書で、米海軍の艦艇建造において「フレンドショアリング」の重要性を強調しました。フレンドショアリングとは、信頼できる同盟国と緊密なサプライチェーンを構築する戦略です。CSISは、日本と韓国を「核心国」と位置づけ、両国が米国の造船業に投資するよう促すべきだと提言しています。
alt釜山に入港する米空母カール・ビンソン。日韓の造船技術を活用することで、同様の艦艇の建造・維持が効率化される可能性も。
米議会調査局(CRS)の海軍専門家、ロナルド・オルーク氏も同様の見解を示しています。下院軍事委員会の公聴会で提出された報告書の中で、オルーク氏は、艦艇の一部を日本や韓国、欧州の造船所で建造すべきだと主張しました。現状では米国の法律で禁じられていますが、この規制を見直す必要があると指摘しています。
米造船業の現状と課題
米国の造船会社は長年の政府の保護と予算に依存してきた結果、競争力を失い、艦艇の建造・修理能力が低下しているという指摘があります。公聴会では、20年前には6年かかっていた軍艦建造が、現在では9年に延びているという証言もありました。
韓国の造船技術に学ぶべき点
オルーク氏は、米国の造船業が韓国の造船技術から学ぶべき点があると指摘しています。具体的には、韓国のように労働投入量を減らす船舶設計を開発し、生産性向上のための技術を導入する必要があるとしています。
alt整備のため韓国に入港した米海軍の補給艦。日韓との協力は、米海軍の艦艇整備にも大きなメリットをもたらす。
中国への対抗策としての同盟国との連携
中国の海軍力増強が著しい現状において、米国は同盟国との連携を強化し、効率的に海軍力を増強していく必要があります。日本と韓国の高度な造船技術を活用することは、米国にとって大きなメリットとなるでしょう。フレンドショアリングは、単なるコスト削減だけでなく、同盟国との関係強化にも繋がる戦略的な取り組みと言えるでしょう。
日米韓の協力関係強化は、今後の安全保障環境において重要な役割を果たすと考えられます。