韓国で核保有論が再燃し、波紋を広げている。米国が韓国を「センシティブ国」に指定する動きを見せている中、与党「国民の力」からは核兵器開発能力、いわゆる「核潜在力」の保有を訴える声が上がっている。この動きは、北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威の高まりと呼応する形で、国内の安全保障に対する不安を反映していると言えるだろう。
米国の「センシティブ国」指定と韓国の反応
米国エネルギー省(DOE)による「センシティブ国」指定は、原子力や人工知能(AI)といった先端技術分野での韓米協力に影響を及ぼす可能性がある。これに対し、ソウル市のオ・セフン市長は、核拡散防止条約(NPT)の枠組み内でのウラン濃縮権を主張。日本の核燃料サイクルを例に挙げ、少なくとも同等の核潜在力を保有すべきだと訴えた。
ソウル市長のオ・セフン氏
オ市長は、対米投資拡大や防衛費増額を交渉材料に、米国との「ギブ・アンド・テイク」の関係構築を目指す考えを示した。しかし、センシティブ国指定により、先端技術分野での協力制限は避けられない可能性が高く、韓国経済への打撃も懸念されている。
核保有論の背景:北朝鮮の脅威と安全保障のジレンマ
北朝鮮の核・ミサイル開発の進展は、韓国の安全保障環境を大きく揺るがし、核保有論の台頭を招いている。オ市長は、核保有国である北朝鮮と対峙する韓国が、ウラン濃縮の権利すら制限されるのは主権侵害だと反論。国民の力のハン・ドンフン前代表も、核武装の準備の必要性を訴えている。
北朝鮮のミサイル発射
こうした動きに対し、国際社会は核不拡散の観点から強い懸念を示している。韓国の核潜在力保有は、周辺国との緊張を高め、外交的孤立を招くリスクも孕んでいる。
専門家の見解
国際政治学者の佐藤一郎氏(仮名)は、「韓国の核保有論は、北朝鮮の脅威に対する焦りの表れと言えるでしょう。しかし、核保有は国際的な非難を招き、地域の不安定化につながる可能性が高い。外交的な解決策を探ることが重要です」と指摘する。
韓国の選択:進むべき道はどこに?
核保有をめぐる議論は、韓国の安全保障政策の岐路を示している。北朝鮮の脅威に対抗するため、米国との同盟関係を維持しつつ、独自の安全保障戦略を構築していくことが求められている。国内の世論も二分する中、韓国政府は難しい舵取りを迫られている。
韓国の核保有論の行方は、今後の東アジア情勢を左右する重要な要素となるだろう。jp24h.comでは、引き続きこの問題を注視し、最新情報をお届けしていきます。