医療費負担の大きな課題、高額療養費制度の負担上限引き上げ問題。患者団体からの強い反対を受け、石破茂首相はついに8月からの引き上げ見送りを表明しました。患者たちの声はどのように政府を動かしたのか、そして今後の医療費負担はどうなるのか、詳しく解説します。
患者団体、ついに首相と面会! 揺るぎない訴えが政府を動かす
3月7日、全国がん患者団体連合会(全がん連)と日本難病・実施団体協議会(JPA)の代表者たちが、石破首相と面会。約3600人分の「高額療養費制度の負担上限額引き上げ反対に関するアンケート」回答が手渡されました。全がん連理事の轟浩美氏は、参議院予算委員会で当事者の切実な声と政策決定プロセスへの疑義を訴え、大きな反響を呼びました。
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この面会、そして全がん連やJPAによる粘り強いロビー活動、全国保険医団体連合会や多くの個人からの働きかけ、そして日本乳癌学会、日本胃癌学会、日本緩和医療学会など、数々の医療関連学会からの反対声明が大きな力となり、政府の異例とも言える方針転換へと繋がりました。
卵巣がん患者のリアルな声:生活苦、不安… 公助の重要性を改めて問う
卵巣がん体験者の会〈スマイリー〉代表、片木美穂氏へのインタビューからは、患者たちが直面する厳しい現実が見えてきます。2006年から卵巣がん患者のドラッグ・ラグ問題解消などに取り組んできた片木氏は、今回の引き上げ問題をどう見ているのでしょうか。
お金の不安、尽きない相談…患者の生活は既に限界?
高額療養費制度に関するニュースが増えるにつれ、〈スマイリー〉への相談内容にも変化が。患者たちのほぼ全員が、お金の不安を口にするようになったといいます。再発への不安や治療効果といった医療的な心配だけでなく、「今の収入で支払額は合っているか」「食費を削る以外に方法はないか」といった、生活苦に関する相談が増えているそうです。
中には、光熱費の高騰を受け、暖房の使用を控えている患者もいるとのこと。医療費に加え、生活費の高騰も患者たちの生活を圧迫している現状が浮き彫りになっています。
多様な患者背景、一律の負担増は公平と言えるのか?
〈スマイリー〉の患者は女性のみですが、年齢や生活背景は様々。独身者、親の介護を抱える人、子育て中の母親など、置かれている状況は千差万別です。治療中の体調も人それぞれで、働き続けられる人もいれば、時短勤務や離職を余儀なくされる人も。乳幼児を抱える母親は、ワンオペ育児の負担も強いられています。
自助努力だけでは限界があり、共助にも頼れない人がいる中で、公助である高額療養費制度の負担増は、患者にとって大きな打撃となるでしょう。
今後の医療費負担はどうなる? 患者中心の制度設計が求められる
今回の引き上げ見送りは、患者団体や医療関係者の粘り強い活動の成果と言えるでしょう。しかし、今後の医療費負担の在り方については、更なる議論が必要です。患者一人ひとりの状況を考慮し、真に支えとなる制度設計が求められています。
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