静岡県浜松市に建設予定の遠州灘海浜公園ドーム球場。当初の計画からドーム型への変更、そして多目的利用への模索と紆余曲折を経てきたこのプロジェクトですが、ここにきて新たな問題が浮上しています。実は、建設計画地すぐ隣に精神科病院が存在することが明らかになったのです。この事実は、ドーム球場の将来、ひいては公園計画全体に大きな影を落とす可能性があります。
精神科病院の存在と音楽イベント開催の難しさ
情報公開請求で入手した調査報告書によると、ドーム球場予定地のすぐ東側に約300床の精神科病院が隣接しているとのこと。入院患者への配慮から、大音量を伴う音楽イベントの開催は困難を極めるでしょう。音楽イベントはドーム球場におけるプロ野球以外の収益源として期待されていただけに、この事実は大きな痛手です。
浜松市遠州灘海浜公園のドーム球場建設計画地周辺
ドーム球場建設に関する事業者へのアンケート調査でも、プロ野球開催は難しいとの見方が大勢を占めています。集客力のある音楽イベントも開催が難しければ、建設コストの回収は絶望的と言わざるを得ません。
立地条件の悪さと多目的利用の限界
遠州浜海岸はアカウミガメの産卵地であるため、照明の使用が制限されます。また、南海トラフ地震の津波浸水地域でもあるため、防災面での課題も山積しています。こうした立地条件の悪さも、ドーム球場運営の大きなネックとなっています。
イベント企画会社の山田一郎氏(仮名)は、「アクセスが悪く、制約も多いこの場所で音楽イベントを開催するのは現実的ではない」と指摘しています。プロ野球開催も難しく、代替となる音楽イベントも開催できないとなると、ドーム球場の多目的利用は極めて限定的になります。
ドーム型はオーバースペック?
調査報告書では、照明や音響の制約、そして莫大な空調費用を考慮すると、ドーム型はオーバースペックであるとの見解も示されています。当初の計画通り、野球場としての利用に限定した方が費用対効果は高かったのかもしれません。
600億円を超える建設費を投じて建設されるドーム球場。しかし、現状では採算性が見込めず、「大赤字施設」となる可能性が濃厚です。
今後の展望
今後、報告書の内容が公表されれば、ドーム球場建設計画はもちろん、公園計画全体の見直しも避けられないでしょう。静岡県は、この問題にどう向き合い、どのような解決策を提示するのでしょうか。今後の動向に注目が集まります。