日中関係緊迫化:麻生氏の発言が波紋、橋下氏も参戦し混迷深まる

2025年12月9日、中国の呉江浩駐日大使が自身のX(旧ツイッター)に自民党の麻生太郎副総裁に関する投稿を行ったことで、日中関係の緊迫化が改めて浮き彫りになりました。この投稿はネット上で様々な反応を呼び、事態はさらなる混迷を深める様相を呈しています。一連の動きは、台湾有事を巡る議論や外交問題に新たな局面をもたらしています。

高市首相の「台湾有事」発言とその波紋

日中関係悪化のきっかけは、11月7日の衆議院予算委員会における高市早苗首相の答弁に遡ります。高市首相は、中国による台湾の海上封鎖が発生した場合、「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうる」と発言しました。

この発言は極めてデリケートな内容であり、過去に現役首相が台湾有事における存立危機事態の可能性に言及した例はありませんでした。これに対し、中国政府は高市首相に発言撤回を求め、中国国民に対し日本への渡航自粛を呼びかけるとともに、日本の海産物の輸入を停止。さらに、日本のアーティストが中国で開催予定だった公演やイベントも軒並み中止となり、日中関係は急速に冷え込む事態となっています。

麻生太郎副総裁の「言われるぐらいでちょうどいい」発言

こうした中、12月3日には麻生副総裁が都内で開かれた会合で、高市首相の発言を擁護する形で言及しました。「中国からいろいろ言われているが、言われるぐらいでちょうどいい」「今まで通りのことを具体的に言っただけで何が悪いのかという態度で臨んでおり、大変喜ばしい」「これによって大問題に発展するわけでもない」と述べ、高市首相の発言は全く問題ないという姿勢を示しました。

麻生副総裁の発言は、日本の安全保障を守る上で当然の姿勢だとして、ネット上では支持する声が多く見られます。しかし、呉大使は9日、自身のXに中国で行われた会見でのやり取りを投稿。麻生副総裁が高市首相の発言を支持したことについて記者から問われた中国外交部報道官が、「このような中国を挑発する行為は、注目を集め、民意を騙し取るための卑劣で非常に危険な手段」と両氏を痛烈に批判した旨を伝えています。

自民党の麻生太郎副総裁、中国との関係悪化について発言自民党の麻生太郎副総裁、中国との関係悪化について発言

レーダー照射問題と橋下徹氏の批判

日中が平行線をたどる最中、12月8日には元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏が情報番組『ゴゴスマ〜GOGO!Smile!〜』(TBS系)に出演し、一連の外交問題について言及しました。番組では、12月6日に中国海軍の空母から発艦した戦闘機が日本の航空自衛隊の戦闘機に二度にわたってレーダー照射した問題が取り上げられました。

橋下氏は、「レーダー照射って現場の自衛官にとって大変な問題ですよ」と切り出し、「安全なところで政治家がウワーッと威勢のいいことを言う」「中国に言ってやった、強気で行けとか、口だけ番長にもほどがある」などと述べ、麻生氏の発言を批判しました。この発言に対しては賛否が分かれているものの、「自衛官の方に相当なストレスがかかっているのは確かだと思う。政治家の方々には、この点も理解しながら外交問題に取り組んでいただきたい」「自衛隊の指揮官が困っているのでは。これ以上エスカレートしたら、現場に負担がかかるんですよ?」など、橋下氏に同調する声も複数見られ、世論の動向に注目が集まっています。

混迷深まる日中関係の行方

麻生副総裁と橋下氏の”参戦”により、日中間の緊張が高まる中、日本の世論はますます混乱を深めています。高市首相の台湾有事発言に端を発し、麻生副総裁がそれを強く支持する一方で、現場の負担を懸念する声も上がるなど、今後の外交問題の着地点は見通せない状況です。日中関係の行方は、引き続き高い関心を持って見守られることでしょう。


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