韓国若者の中国離れ:嫌中感情の高まりとその背景

韓国の若者世代で中国に対する嫌悪感が高まっている。日常生活での摩擦や経済的競争、中国政府の政策への反発など、様々な要因が絡み合い、複雑な感情を生み出している。本記事では、この現象の実態と背景について詳しく解説する。

日常生活での摩擦:キャンパスから食卓まで

韓国の大学キャンパスや街中で、中国人留学生や観光客との間で文化的な衝突が生じている。大声での会話やマナーの違い、中国語表記のみの看板など、些細な出来事が積み重なり、韓国人学生の不満につながっている。

韓国の大学キャンパス韓国の大学キャンパス

ソウル大学の国家未来戦略院と朝鮮日報が行った共同調査によると、20代~30代の「反中感情」は特に強い。中国に対する好感度は北朝鮮とほぼ同レベルという結果が出ている。

経済的競争:奪われた機会への不満

就職難が深刻化する韓国では、若者世代を中心に、中国との経済競争に対する懸念が高まっている。自分たちの仕事が奪われたり、待遇面で不利になるのではないかという不安が、反中感情を助長する一因となっている。

一部の若者は、韓国政府が自国民よりも外国人に手厚い支援を行っていると感じている。高額納税者であるにも関わらず、医療保険などの恩恵を受けにくい現状に不満を抱き、中国をはじめとする外国人に優先的に資源が配分されていると批判する声も上がっている。

中国政府の政策への反発:韓流規制と個人情報への懸念

中国政府による韓流規制や、中国企業による個人情報収集への警戒感も、若者世代の反中感情を煽っている。文化交流の制限やサイバーセキュリティへの不安は、中国に対する不信感を増幅させる要因となっている。

韓国の太極旗韓国の太極旗

皮肉なことに、反中デモで使用される韓国の国旗でさえ中国製であるという現実が、若者たちの複雑な心境を象徴している。

台湾人へのとばっちり:誤解と差別

韓国で高まる反中感情は、台湾人にも影響を及ぼしている。中国語を話すだけで差別的な扱いを受けることもあり、台湾出身者は韓国で生活する際に不安を感じているという。

台湾のECサイトでは、「私は台湾人です」と書かれたステッカーが販売され、品切れ状態になっているという事実が、この状況を物語っている。

外交政策への影響:経済vs.感情のジレンマ

若者世代の反中感情は、韓国の外交政策にも影響を及ぼし始めている。経済成長のために中国との関係改善が必要という意見に対し、20代~30代の賛成率は全年齢層で最も低く、反対率は最も高かった。

専門家は、若者世代の強い反中感情が国家的な利益に悪影響を与える可能性を指摘している。経済的な現実と感情的な反発の間で、韓国は難しい舵取りを迫られている。

まとめ:複雑化する日中韓関係

韓国の若者の反中感情は、単なる一時的な現象ではなく、様々な要因が複雑に絡み合った結果である。日常生活での摩擦、経済的競争、中国政府の政策への反発など、多様な側面からこの問題を理解することが重要だ。

今後、韓国政府は、若者世代の声に耳を傾け、中国との関係をどのように構築していくのか、難しい選択を迫られることになるだろう。