ステージ4の膀胱がんからの生還記:抗がん剤治療の効果を実感した日

肺への転移が見つかり、ステージ4の膀胱がんと診断されたジャーナリスト山田稔さん(65歳)。抗がん剤治療、そして膀胱全摘出手術を経て、がんと向き合う日々を送っています。この記事では、3種類の抗がん剤治療を受けた山田さんの体験、特に効果を実感した日の出来事について詳しくご紹介します。

検査結果は希望の光

3月初旬、定期検査のため大学病院を訪れた山田さん。血液検査と2ヶ月ぶりのCT撮影を受けました。体調も良く食欲も旺盛で、がん患者であることを忘れそうになるほどでした。

1時間ほど待合室で過ごした後、診察室へ呼ばれました。主治医のPCモニターには、肺のCT画像が映し出されています。

「先生、CTの結果はどうでしたか?」と尋ねると、嬉しい答えが返ってきました。

「前回の画像(1月)と比べると、腫瘍がかなり小さくなっています。中央左(右肺)の大きな腫瘍は半分以下になり、画面左側にあった小さな腫瘍2つは消滅しています。画面右側の腫瘍も小さくなり、影も薄くなっています」

alt 肺の腫瘍縮小alt 肺の腫瘍縮小

希望の光が見えてきました。しかし、腰の骨への転移も気になるところです。主治医に腰の骨の画像を見せてもらうと、肺ほど顕著な縮小は見られないものの、全体的に白い影が薄くなっていました。抗がん剤の効果が現れ始めているようです。

「腰の骨はもう少し様子を見ましょう。骨を強化する皮下注射も検討できます。その際は投薬も併用します」と主治医は説明しました。

この時点ではまだ断定的な判断はできませんでしたが、腫瘍が大きくなったり、新たな転移が見つかったりするような悪化は見られませんでした。

抗がん剤治療の軌跡

山田さんは、まずゲムシタビンとカルボプラチンという2種類の抗がん剤を併用する治療を受けました。この治療が体に合っていたのか、肺の腫瘍が4割縮小するなど、顕著な効果が見られました。

その後、標準治療の第二弾として、免疫チェックポイント阻害薬であるアベルマブの投与に進みました。これはがんの進行を抑制するための治療です。

alt 相性が良かったカルボプラチン治療後のCT画像alt 相性が良かったカルボプラチン治療後のCT画像

今後の展望

山田さんの闘病は続いています。様々な治療法を試しながら、がんと共存していく道を選んだ山田さんの勇気と希望に満ちた姿は、多くの患者さんにとって励みとなるでしょう。今後の経過にも注目が集まります。

がん治療専門医の佐藤先生(仮名)は、「ゲムシタビンとカルボプラチンの併用療法は、膀胱がんの治療において有効な選択肢の一つです。山田さんのケースのように、腫瘍の縮小効果が見られる場合もあります。ただし、患者さんによって効果や副作用は異なるため、個々の状況に合わせた治療法を選択することが重要です」と述べています。