スタートアップ業界で活躍する女性起業家。革新的なアイデアと情熱を胸に、新たなビジネスに挑戦する彼女たちを応援したい気持ちは皆同じでしょう。しかし、華やかな舞台の裏では、セクハラやレイプといった深刻な被害に苦しむ女性たちがいる現実があります。今回は、自身も被害に遭い、被害者のための団体「スタートアップユニオン」を立ち上げた松阪美穂氏にインタビュー。セクハラ、レイプ被害の実態、そして二次被害の苦しみについてお話を伺いました。
セクハラからレイプ被害へ:悪夢の連鎖
松阪氏は、2019年に複数のセクハラ被害を受けた後、2021年にはレイプ被害にも遭っています。一度はスタートアップの世界から離れることを余儀なくされた彼女ですが、「もう一度頑張ろう」と決意し、活動を再開。ベンチャーキャピタルや投資家からのセクハラ被害を避けるため、日本政策金融公庫からの融資を受けることにしました。事業計画書の書き方についてアドバイスをくれるという人物が現れ、松阪氏は藁にもすがる思いでその申し出を受け入れました。
松阪美穂氏
女性起業家を応援する仮面の裏に隠された本性
相手は「女性起業家を応援している」と公言し、実際に女性起業家からの信頼も厚い人物でした。松阪氏も、カフェでのビジネス相談を通して「この人は大丈夫」と安心感を抱いていた矢先、事件は起こりました。相手のオフィスに呼び出された松阪氏は、それが住居兼オフィスであることに違和感を覚えます。くつろぐためのソファが置かれた空間は、明らかにビジネスの場ではありませんでした。そして、そこでレイプ被害に遭ってしまったのです。
有名な料理研究家のA氏も、「起業家の卵を狙った悪質なセクハラ・性暴力事件は後を絶たない」と警鐘を鳴らしています。A氏によると、このようなケースでは加害者が巧妙に信頼関係を築き、被害者を油断させる手口が用いられることが多いといいます。
逃げ場のない苦しみ:二次被害とフラッシュバック
レイプ被害後、松阪氏は精神的に大きなダメージを受け、泣き叫びながらその場から逃げ出しました。数時間にわたって泣き続け、セクハラ被害、レイプ被害、そして夢を失った悲しみなど、様々な感情が一気に押し寄せたといいます。
過去のトラウマが蘇るフラッシュバック
現在もフラッシュバックに悩まされているという松阪氏。当時の恐怖が鮮明に蘇り、日常生活にも支障をきたしているといいます。精神科医のB先生は、「トラウマとなるような出来事を経験すると、フラッシュバックなどのPTSD症状が現れることがある。適切な治療とサポートが必要不可欠だ」と指摘しています。
女性起業家を守るために:私たちにできること
松阪氏の経験は、スタートアップ業界におけるセクハラ・レイプ被害の深刻さを改めて浮き彫りにしています。被害者を孤立させないためにも、社会全体でこの問題に向き合い、支援体制を強化していく必要があるでしょう。
次回の記事では、松阪氏が立ち上げた「スタートアップユニオン」の活動内容や、今後の展望について詳しくお伝えします。