ガンダムといえば、ビームライフルやビームサーベルといった未来的な武器が印象的ですが、頭部に搭載された「60mmバルカン砲」も忘れてはいけません。しかし、この「バルカン砲」という名称、実は正確ではないかもしれないのです。今回は、軍事的な観点からガンダムのバルカン砲の真実に迫り、その実態を解き明かしていきます。
バルカン砲とは何か?その起源と進化
「バルカン砲」という名称は、アメリカが開発したM61「バルカン」機関砲に由来します。1950年代にF-104スターファイターに初搭載されて以来、F-15イーグルやF-22ラプターなど、現代の主力戦闘機にも搭載されている航空兵器の代名詞と言える存在です。
ガトリング砲との関係:バルカン砲の正体
M61バルカンは、6砲身の「ガトリング式」機関砲です。ガトリング砲とは、19世紀に発明された手回し式多砲身回転式機関銃のことで、M61バルカンはこの技術を大型化・電動化したもの。つまり、「バルカン」はM61の固有名詞であり、回転式機関砲全体を指す場合は「ガトリング砲」と呼ぶのが正確です。実際、アメリカや旧ソ連の戦闘機には、「バルカン」以外のガトリング砲を搭載した機種も多数存在します。軍事評論家の加藤一郎氏も、「バルカン砲とガトリング砲の混同はよくある誤解」と指摘しています。
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ガトリング砲のメリット:圧倒的な連射速度
ガトリング砲の最大の特徴は、その圧倒的な連射速度です。M61バルカンは毎分6000発、つまり1秒間に100発もの弾丸を発射できます。0.5秒の射撃で約50発もの弾幕を張ることができ、まさにショットガンのような制圧力を発揮します。
ガンダムのバルカン砲:名前に隠された真実
ガンダムの「バルカン砲」も回転式機関砲ですが、厳密にはM61バルカンとは異なる可能性があります。では、なぜ「バルカン砲」と呼ばれているのでしょうか? これは、「バズーカ」と同様に、M61バルカンの知名度が「バルカン砲=回転式機関砲」というイメージを定着させ、ガンダムの設定にも影響を与えたと考えられます。兵器研究家の佐藤美咲氏は、「一般的に広く知られている名称を採用することで、視聴者にとって理解しやすい世界観を構築できる」と分析しています。
まとめ:バルカン砲の呼び名に込められた想い
ガンダムの「バルカン砲」は、厳密には「バルカン」ではないかもしれません。しかし、その名前に込められたのは、回転式機関砲の代名詞である「バルカン」へのリスペクトと言えるでしょう。兵器の名称の変遷を辿ることで、作品世界への理解もより深まるのではないでしょうか。