北朝鮮観光ツアー再開もわずか2週間で中止…その舞台裏に迫る!

北朝鮮が2023年2月に5年ぶりに観光ツアーを再開したものの、わずか2週間で中止となりました。一体何が起こったのでしょうか?本記事では、最新のツアー映像と参加者の証言をもとに、謎に包まれた北朝鮮観光の実態に迫ります。

コロナ禍明けの北朝鮮観光ツアー、その貴重な体験とは?

中国と北朝鮮の国境にかかる橋を渡るバス。窓の外には、謎めいた風景が広がっています。これは2月に行われた観光ツアー参加者が撮影した貴重な映像です。参加者のピエール・エミール氏は「コロナ禍明け初のツアーだったので、本当にどうなるか分からなくて、まるで遠足のようでした」と当時を振り返ります。

北朝鮮の国境にかかる橋を渡るバス北朝鮮の国境にかかる橋を渡るバス

北朝鮮の旗を手に、Tシャツ姿で自撮りをするエミール氏。彼は北朝鮮北東部の経済特区・羅先(ラソン)を訪れました。北朝鮮は2月中旬、それまでロシアからの観光客しか受け入れていませんでしたが、5年ぶりに西側諸国からの観光を再開したのです。2月末のツアーには、エミール氏をはじめ、ドイツやオーストラリアなどから十数名が参加しました。

到着後、彼らを待ち受けていたのは、厳重なコロナ対策でした。「すべての持ち物を消毒するのに、バッグごとに料金を請求されました」とエミール氏は語っています。ツアー料金は、ホテル代、3食付きで4泊5日で約11万円。山でのハイキングや新鮮な海産物など、北朝鮮の自然と食を満喫したようです。

エミール氏が宿泊したホテルは「70年代風の雰囲気で、見栄えのために大きな星が5つ付いていましたが、実際は2つ星レベル」だったとのこと。

観光名所から学校、工場まで…北朝鮮の今を垣間見る

ツアーでは、観光名所だけでなく、現地の学校や工場も見学しました。外国語学校の生徒たちは流暢な英語を話し、エミール氏を驚かせたそうです。

将来の夢を聞かれた生徒たちは、「軍隊に入り、国と国民を守りたい」と答えています。子どもたちが歌を披露するステージでは、スクリーンに戦闘機やミサイルの映像が映し出されていました。小学校と思われる施設には、「わが指導者最高」の文字が掲げられており、ツアー全体を通して、金一族の功績が強調されていたといいます。

「この学校は10年前に金正恩同志の命令で建てられました」「このビルも特定の人々に捧げて建設されました」といった説明が随所にあり、すべてが指導者へとつながっていたとエミール氏は証言しています。

著名な北朝鮮研究者である田中教授(仮名)は、「このような演出は、国内向けのプロパガンダであると同時に、外国人観光客にも北朝鮮の体制をアピールする狙いがあると考えられます」と分析しています。

閉ざされた国、北朝鮮の未来は?

わずか2週間で中止となった観光ツアー。再開の背景には、経済制裁による困窮からの脱却を図る狙いがあったとされています。しかし、国際情勢の不安定化や国内の状況など、様々な要因が絡み合い、再び門戸を閉ざすことになったと考えられます。

北朝鮮の子供たち北朝鮮の子供たち

北朝鮮の観光ツアーは、謎に包まれた国の現状を垣間見る貴重な機会と言えるでしょう。今後の動向に注目が集まります。