いしだあゆみさん、その歌声と共にある世代の記憶に深く刻まれた存在が、この世を去りました。「ブルー・ライト・ヨコハマ」など数々の名曲を世に送り出し、女優としても活躍した彼女の生涯は、波瀾万丈の恋物語と、どんな困難にも揺るがない凛とした生き方で彩られていました。この記事では、いしだあゆみさんの人生、特に萩原健一さんとの忘れられない恋について振り返り、彼女の魅力に迫ります。
俳優・萩原健一さんとのドラマティックな出会い
数々のロマンスで世間を賑わせたいしだあゆみさん。中でも、俳優で歌手の萩原健一さん(ショーケン)との恋は、まさにドラマティックな展開でした。
二人の出会いは、1977~78年に放送されたドラマ「祭ばやしが聞こえる」(日本テレビ)での共演がきっかけでした。その後、親交を深めた二人は1980年に挙式。しかし、当時の萩原さんは、モデルの小泉一十三さんとの結婚生活が破綻したばかり。バリ島に逃避行していた萩原さんに、いしださんから電話がかかってきたことが、二人の運命を大きく動かしました。「いつまでそちらにいるの?」といういしださんの言葉に促され、萩原さんは急遽帰国。成田空港からいしださんの家へ直行し、同棲生活が始まったのです。
いしだあゆみさんと萩原健一さんの婚約発表の様子
試練の連続と、伝説の離婚会見
しかし、二人の生活は順風満帆とはいきませんでした。当時の萩原さんは、酒やタバコに溺れ、1983年には大麻不法所持で逮捕。翌年には飲酒運転で人身事故を起こし、業務上過失傷害罪でも逮捕されるなど、波乱の連続でした。他の女性との噂もあり、二人の関係は破綻。1984年、俳優の山崎努さんの立ち会いのもと、離婚届にサインしましたが、実は婚姻届が提出されていなかったという驚きの事実が後に明らかになっています。
事実婚の解消後、いしださんは一人で離婚会見に臨みました。世間では萩原さんの事件などが原因とされていましたが、いしださんは「家庭をおろそかにして主婦失格です」と、萩原さんを責めることは一切ありませんでした。その凛とした姿は、“伝説の会見”として今も語り継がれています。
いしだあゆみさんの揺るぎない愛と強さ
当時の新聞インタビューで、いしださんは「凄く愛されました。私から見れば理想の夫婦でした」と萩原さんへの変わらぬ愛を語ると同時に、「また同じことをやっちゃうかも」と再婚の可能性も示唆していました。
その後、森進一さんや作曲家の三枝成彰氏との熱愛報道もありましたが、生涯再婚することはありませんでした。
凛とした生き方で、多くの人を魅了した歌姫
いしだあゆみさんは、激動の時代を生き抜き、その歌声と演技で多くの人々を魅了しました。波瀾万丈の恋を経験しながらも、決して弱音を吐かず、凛とした姿勢を貫いた彼女の生き方は、多くの女性たちの共感と憧れを集めました。彼女の歌声は、これからも私たちの心に響き続けることでしょう。