野沢温泉、夕食難民続出!オーバーツーリズムの影で揺らぐ温泉街の未来

野沢温泉の魅力に取り憑かれ、何度も訪れるリピーターも多いこの温泉街。しかし、近年はその人気ゆえに「オーバーツーリズム」の問題が深刻化し、特に夕食時の「夕食難民」問題は大きな課題となっています。今回は、その実態を現地の声と共に詳しくお届けします。

外国人観光客急増で変貌する温泉街

かつては静かで落ち着いた雰囲気で多くの日本人観光客を魅了していた野沢温泉。しかし、コロナ禍以降、外国人観光客が急増し、街の風景は一変しました。

埼玉県から訪れた40代男性は、以前の温泉街とは全く違う雰囲気に驚きを隠せません。「以前は日本人のお年寄りが多く、昔ながらの風情がありましたが、今はまるで外国のよう。物価も高騰し、ビール一杯が800円もしました」と語ります。

スキーを楽しみに来た東京都の20代女性も、「1月~2月は宿泊費が高く予約も取れないため、この時期に来ました。従業員も外国人だらけで、英語で話しかけられたり、英語メニューしかない店もあり戸惑いました」と現状を明かします。

altalt野沢温泉の賑やかな街並み。外国人観光客の姿が多く見られる。

夕食難民、悲痛な叫び

昼間はスキー場で賑わうため、温泉街は比較的落ち着いています。しかし、日が暮れる17時半頃から状況は一変。「夕食難民」が街を彷徨い始めます。

18時を過ぎると、雪国の厳しい寒さの中、食事にありつけない苛立ちを募らせる人々の姿も。スノボ帰りの20代男子大学生3人組は、「予約をしていなかったので、どこも満席。スマホで調べているけど、空いている店が見つかりません。夕食にありつけないなんて…」と途方に暮れていました。

30分以上歩き回ってようやく店を見つけた20代女性2人組は、見知らぬ外国人男性との相席を余儀なくされたといいます。40代男性は、「日本酒を楽しみにしてきたのに、外国人店員しかおらず、注文を間違えられました」と落胆していました。

外国人観光客も困惑

日本人観光客だけでなく、外国人観光客も「夕食難民」となっています。アメリカ人観光客の男性は、「すぐに入れるのはフードを提供していないバーばかり。鍋料理の店は空いているけど、衛生的に抵抗がある」と語ります。

altalt夕食を求めて彷徨う外国人観光客。言葉の壁や文化の違いも影響している。

オーストラリア人カップルは、ラーメンしか空いていない状況に不満を募らせていました。男性は「彼女がヘルシーな日本食を期待していたので、ラーメンは嫌だと言っている」と語り、女性は「SNSで見た素敵な日本食レストランが予約で満席だった」と残念がっていました。

観光客と地元住民、共に未来を考える

野沢温泉の「夕食難民」問題は、オーバーツーリズムが生み出した影の部分。観光客の増加は経済効果をもたらす一方で、地元住民の生活や観光客自身の満足度にも影響を与えています。

例えば、飲食店の多言語対応や予約システムの導入、観光客向けの情報提供の充実など、様々な対策が必要です。行政、観光事業者、そして観光客が共に問題意識を共有し、持続可能な観光のあり方を模索していくことが、野沢温泉の未来を守るために不可欠と言えるでしょう。