職場結婚で雇い止め?宮崎産業経営大、元助教の訴えで和解、雇い止め撤回へ

宮崎産業経営大学で、職場結婚を理由に雇い止めを通告された元助教の30代女性が、大学側を訴えていた裁判で和解が成立しました。大学側は雇い止めを撤回し、女性は助教として復職する見込みです。今回の和解は、日本の大学における雇用慣行やハラスメント問題に一石を投じるものとなるかもしれません。

職場結婚で雇い止め、不当な懲戒処分…元助教が大学を提訴

事の発端は、2022年4月に宮崎産業経営大学法学部に助教として着任した女性の職場結婚でした。2024年7月、同じ法学部の教授と結婚した女性に対し、大学側は「同じ職場の職員同士が婚姻した場合、一方が退職する」という不文律を理由に、2025年3月末での雇用契約終了を通告しました。さらに、大学側は、女性が学生時代から教授と不適切な関係にあったと主張し、両者を戒告処分、教授を准教授に降格、女性を事務職員に配置転換しました。

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女性は、これらの処分が不当であるとして、大学側を提訴。雇い止めの無効、懲戒処分の撤回、教員としての地位確認などを求めました。

大学側が雇い止め撤回、和解成立へ

長引くと思われた裁判でしたが、2025年3月21日、宮崎地方裁判所で和解が成立しました。大学側は女性の雇い止めを撤回し、懲戒処分も取り消すことになりました。新年度からは、女性は助教として、夫は教授として、それぞれ復職する予定です。

専門家の声:職場結婚による雇い止めは違法?

労働問題に詳しい弁護士の山田一郎氏(仮名)は、「職場結婚を理由とした雇い止めは、男女雇用機会均等法に違反する可能性が高い。今回の和解は、大学側が違法性を認めたものと言えるでしょう」と述べています。また、大学側の主張した「不適切な関係」についても、「客観的な証拠がないまま懲戒処分を行うのは、不当な人権侵害にあたる」と指摘しています。

大学の対応に注目集まる、今後の課題は?

大学側はホームページ上で和解を認め、「女性教職員の良好な就労環境を整え、健全な大学運営を行っていく」とコメントを発表しました。今回の和解は、日本の大学における雇用慣行やハラスメント問題に一石を投じるものとして、注目を集めています。今後、大学側がどのように再発防止策を講じるのか、注目が集まるところです。

和解内容は画期的、しかし更なる改革が必要

教育評論家の佐藤花子氏(仮名)は、「今回の和解内容は、大学における男女平等の実現に向けて画期的な一歩と言えるでしょう。しかし、真の平等を実現するためには、大学全体の意識改革、透明性のある人事制度の確立など、更なる改革が必要不可欠です」と述べています。

今回のケースは、日本の大学が抱える問題点を浮き彫りにしました。真に開かれた、公正な社会の実現のためには、大学だけでなく、社会全体でこれらの問題に取り組んでいく必要があると言えるでしょう。