米国の大学が、トランプ前政権による補助金削減の圧力に直面し、学問の自由が脅かされている現状について解説します。名門コロンビア大学を筆頭に、多くの大学が巨額の補助金打ち切りの危機に晒され、研究活動への深刻な影響が懸念されています。
コロンビア大学、補助金維持のためカリキュラム見直しへ
ニューヨークの名門、コロンビア大学は、トランプ前政権から巨額の補助金打ち切りを通告され、その回避のためにカリキュラム見直しを表明しました。これは、同大学におけるパレスチナ支持の学生運動への対応が不十分であると判断されたことが原因です。
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この決定は、学問の自由への介入であり、大学の自治を侵害するものだと批判の声が上がっています。大学関係者からは、研究活動への影響を懸念する声も聞かれます。教育専門家である山田一郎氏(仮名)は、「補助金削減を武器とした圧力は、大学の研究活動を萎縮させ、ひいては国の学術力の低下につながる」と警鐘を鳴らしています。
トランプ前政権、「反ユダヤ主義」対策を大学に要求
トランプ前政権は、コロンビア大学以外にも、ハーバード大学を含む全米60校以上の大学に対し、「反ユダヤ主義」への対策強化を求める書簡を送付しました。対策が不十分な場合は、強制措置も辞さない構えを見せていました。
この背景には、イスラエルへの抗議活動が一部の大学で活発化していたことがあります。特にコロンビア大学は、パレスチナ支持運動の中心地として、トランプ前政権の標的となっていました。
キャンパス内の警備強化、マスク着用禁止も
コロンビア大学は、政権の要求を受け入れ、中東研究のカリキュラム見直しに着手したと発表しました。さらに、キャンパス内での警備強化策として、健康上や宗教上の理由を除き、マスクの着用を禁止する措置も講じました。
これらの措置は、学生たちの抗議活動を抑制するためのものとみられています。学生からは「表現の自由が侵害されている」との声が上がっており、大学側の対応に不満が高まっています。
補助金削減と政府縮小で多くの大学に影響
トランプ前政権は、教育機関における「急進左派」の影響力を排除することを掲げ、補助金削減を積極的に行ってきました。ペンシルベニア大学も、トランスジェンダー選手の学生競技参加を理由に、補助金凍結の措置を受けています。
さらに、連邦政府の縮小政策も、大学への財政的な圧力となっています。ジョンズ・ホプキンス大学では職員の大量解雇が行われ、イリノイ大学では研究室の閉鎖が決定されるなど、深刻な影響が出ています。
研究活動への深刻な影響を懸念
大学関係者からは、補助金削減や政府縮小によって研究活動が停滞するのではないかという懸念の声が上がっています。コロンビア大学の生物科学部長は、「大学は研究なしに存在できない」と述べ、危機感をあらわにしています。
大学における研究活動は、国の将来を担う人材育成や科学技術の発展に不可欠です。政治的な圧力によって研究活動が阻害されることは、社会全体にとって大きな損失となるでしょう。今後の動向に注視していく必要があります。