韓国経済の2024年の見通しは、依然として厳しい状況が続いています。政治的な不確実性や内需の低迷に加え、世界的な経済減速の影響も懸念されています。本記事では、主要機関による韓国経済の成長率予測や、専門家による今後の見通し、そして景気浮揚策の必要性について解説します。
主要機関による韓国経済成長率予測の現状
AMRO(ASEAN+3 マクロ経済調査機関)は、2024年の韓国のGDP成長率を1.6%と予測しました。これは、前回の予測である1.9%からさらに下方修正された数値です。フィッチ・レーティングスも同様に、1.3%へと下方修正しています。OECDも1.5%と、以前の予測から大幅に引き下げました。
これらの主要機関が短期間で予測を下方修正していることは、韓国経済を取り巻く不確実性と不安感の高まりを示しています。フィッチ・レーティングスは、政治的な不確実性を短期的な景気下方要因として挙げており、AMROは、半導体サイクルの低迷や米国の追加関税引き上げによる輸出の鈍化を予測しています。
韓国経済のグラフ
専門家の見解と景気浮揚策の必要性
延世大学経済学部の金正湜名誉教授は、「追加補正予算などの財政政策が政治的な問題に阻まれているため、積極的な通貨政策を検討する必要がある」と指摘しています。基準金利の追加引き下げは、景気を浮揚させるだけでなく、ウォンの価値を下げることで米国の関税引き上げの影響を相殺し、輸出を支援する効果も期待できるとのことです。
IMFの成長率予測は2.0%ですが、これも近いうちに下方修正される可能性があります。韓国銀行も最悪のシナリオを想定しており、米国の関税引き上げが深刻化した場合、成長率はさらに低下する可能性があると分析しています。
物価上昇への懸念
経済成長の鈍化に加えて、高い物価水準も大きな負担となっています。AMROは、2024年の韓国の消費者物価上昇率を1.9%と予測しており、地政学的なリスクの高まりによるエネルギー価格や海運コストの上昇が懸念されています。
原油価格のグラフ
今後の展望と課題
韓国経済は、内外の様々な要因によって厳しい状況に直面しています。政治的な不確実性、世界経済の減速、そして物価上昇圧力など、課題は山積しています。政府は、これらの課題に迅速かつ効果的に対応し、持続的な経済成長を実現するための対策を講じる必要があります。
専門家たちは、財政政策と通貨政策の適切な組み合わせによる景気刺激策や、構造改革による経済の競争力強化などが重要だと指摘しています。韓国経済の今後の動向に注目が集まります。