韓国全土で週末にかけて同時多発的に山火事が発生し、甚大な被害が出ています。22日から23日にかけて43カ所で火災が発生、乾燥した空気と強風にあおられ、鎮火活動は難航しています。今回の山火事は、2015年以来の規模となり、各地で住民の避難を余儀なくされています。
43カ所で同時多発的な山火事、10年ぶりの規模
22日から23日にかけて、韓国各地の43カ所で山火事が発生しました。22日には29カ所、23日には13カ所で発火が確認され、特に慶尚南道山清郡では21日から3日間も延焼が続いています。3月にこれほどの規模の山火事が発生するのは、2015年3月以来、10年ぶりのことです。
山火事の様子
消防士4名殉職、住民2200人以上が避難
韓国政府は全国の消防隊員に国家動員令を発令し、山清地域を特別災害地域に指定しました。懸命な消火活動が行われる中、山清郡では消防隊員4名が殉職、6名が負傷するという痛ましい事故も発生しました。強風にあおられた炎の急激な延焼により、4名は孤立状態に陥ったとされています。消防隊員の殉職者が出たのは、1996年の京畿道東豆川市での山火事以来、29年ぶりのことです。
慶尚北道義城郡、蔚山市蔚州郡、慶尚南道金海市などでも大規模な山火事が発生し、全国で約2260人の住民が公民館などに避難しています。山清郡、義城郡、蔚州郡、金海市の4カ所だけで、焼失面積はサッカー場1万837面分に相当する約7739ヘクタールに達し、住宅や工場など約140棟が焼損しました。高速道路の一部区間も通行止めとなっています。
乾燥と強風で鎮火活動は難航
山林庁、各市・道、消防庁、軍などはヘリコプター約130機、人員約8000人を投入し、鎮火活動にあたっています。しかし、乾燥した空気と強風により、消火活動は難航を極めています。23日夜10時時点での鎮火率は、山清郡71%、義城郡60%、蔚州郡72%、金海市96%となっています。
気象庁は24日も韓半島の東側地域を中心に強風が吹くと予想しており、さらなる山火事の発生に警戒を呼びかけています。今後の降雨も見込めないことから、山火事の長期化が懸念されています。
例えば、森林火災専門家の佐藤一郎氏(仮名)は、「乾燥した空気と強風は山火事の拡大を助長する大きな要因です。特に、枯れ葉や枯れ枝が多い時期は、わずかな火種でも大規模な火災に発展する可能性があります」と警鐘を鳴らしています。
今後の見通しと対策
今後の天候によっては、更なる被害拡大も懸念される今回の山火事。一刻も早い鎮火と、被災者への支援が求められています。関係機関による迅速な対応と、地域住民の協力が不可欠です。