韓国で「1人社長」とも呼ばれる個人事業主が、厳しい状況に直面しています。内需の低迷や高金利の影響を受け、2024年にはその数が前年比4万4000人も減少しました。6年ぶりの減少となり、422万5000人まで落ち込んでいます。今回は、韓国の個人事業主を取り巻く現状、廃業増加の背景、そして政府の対応について詳しく見ていきましょう。
個人事業主を取り巻く厳しい現実
統計庁のデータによると、従業員を雇用している個人事業主は2024年に1万2000人増加したものの、1人社長の減少幅がそれを上回りました。特に資本力の乏しい小規模事業者が大きな打撃を受けており、韓国国税庁の統計では、個人事業主の廃業件数は2021年の81万9000件から2023年には91万1000件へと増加しています。
韓国の飲食店街
この廃業増加に伴い、廃業時に支給される共済金の申請も急増しています。2024年には申請件数が12万1802件、総額は1兆7518億ウォン(約1812億円)に達しました。2025年も2月末時点で既に2万5047件、4110億ウォン(約425億円)が支給されており、今後も増加傾向が続くと予想されています。
廃業増加の背景:内需不振と高金利
韓国経済の減速、特に内需の低迷が個人事業主の経営を圧迫しています。消費支出の減少は、直接的に売上減少につながり、事業継続を困難にしています。さらに、高金利も大きな負担となっています。資金繰りが悪化する中、金利上昇は借入コストを増大させ、経営をさらに苦境に追い込んでいます。
専門家の見解
経済アナリストのキム・ヨンチョル氏(仮名)は、「高金利と内需低迷のダブルパンチが個人事業主の廃業を加速させている。特に、飲食店や小売店など、景気の影響を受けやすい業種への打撃は深刻だ」と指摘しています。
政府の対応と課題
韓国政府は、再就職支援策の拡充に力を入れており、2025年には前年比61.9%増となる2450億ウォン(約253億円)の予算を計上しました。しかし、専門家からは短期的な支援だけでなく、起業しやすい環境整備や、事業継続のための長期的なサポートの必要性が指摘されています。
韓国の自営業比率の高さ
韓国の自営業者比率はOECD加盟国の中でも高く、2021年のデータでは23.9%とOECD平均(17%)の約1.4倍に達します。しかし、事業の継続率は低く、特に飲食・宿泊業では創業5年後に生き残っているのはわずか22.8%という厳しい現実があります。
まとめ
韓国の個人事業主は、内需不振と高金利の影響で厳しい状況に置かれています。廃業件数の増加は、韓国経済の脆弱性を示す一つの指標と言えるでしょう。政府の支援策の拡充とともに、長期的な視点での構造改革も必要不可欠です。