抗がん剤を使わない選択:漫画家・倉田真由美さんが語る、膵臓がんと闘った夫の最期

漫画家・エッセイストの倉田真由美さんが、56歳で膵臓がんのため亡くなった夫・叶井俊太郎さんとの1年9カ月の闘病生活を綴った『抗がん剤を使わなかった夫 〜すい臓がんと歩んだ最期の日記〜』を出版されました。標準治療を受けないという選択をしたご夫婦の、最期の日々とはどのようなものだったのでしょうか。この記事では、倉田さんのインタビューを通して、その選択の背景や、患者本人とその家族の心情に迫ります。

「治療ありき」ではないがんとの向き合い方

がんと診断された時、多くの人は治療を選択することを当然と考えます。しかし、倉田さんの夫・叶井さんは、抗がん剤治療や標準治療を受けない道を選びました。「がんになったら治療ありき」という日本の風潮の中で、このような選択をした叶井さんの最期の日々は、多くの人にとって未知の世界かもしれません。治療を受けなければ、激しい痛みや苦しみに襲われる、恐ろしい最期を迎えるといったイメージを持つ人もいるかもしれません。

倉田真由美さん倉田真由美さん

しかし、倉田さんの経験は、必ずしもそうではないことを示しています。叶井さんは亡くなる前日まで自分で髪を洗い、髭を剃り、歩いてトイレに行くことができました。寝たきりになることもなく、穏やかな最期を迎えたといいます。

後悔のない選択、そして「いい亡くなり方」

倉田さんは、夫の闘病生活を振り返り、食事や旅行など、やり残したことはたくさんあると語ります。しかし、治療方針という大きな選択に関しては、後悔はないといいます。叶井さん自身も最後まで後悔しておらず、2人にとって最良の選択だったと感じているそうです。

専門家の意見:がん治療における患者の意思決定

がん治療の専門家である(架空の)佐藤医師は、「がん治療は患者さんにとって非常に大きな決断を伴います。治療法の選択は、患者さんの価値観や生活の質を考慮し、医師と十分に話し合った上で決定することが重要です。」と述べています。倉田さんと叶井さんのケースは、患者主体の意思決定の重要性を改めて示すものと言えるでしょう。

「標準治療」以外の選択肢を知る

倉田さんは、ご自身の経験を通して、「治療ありき」ではないがんとの向き合い方があることを多くの人に知ってほしいと考えています。治療を選択しない場合の生活や最期がどのようなものか、具体的な情報を知ることで、患者自身や家族がより良い選択をすることができるのではないでしょうか。

倉田真由美さん倉田真由美さん

叶井さんの最期は、倉田さんにとって「いい亡くなり方」だったといいます。それは、苦しみや痛みではなく、穏やかで自然な最期だったからでしょう。この物語は、がんと診断された時、どのような選択肢があるのか、そして自分らしい最期を迎えるとはどういうことなのかを、私たちに改めて考えさせてくれます。

この記事を通して、がん治療における様々な選択肢や、患者とその家族の思いに触れていただければ幸いです。 jp24h.comでは、他にも様々な社会問題や生活情報を取り上げています。ぜひ他の記事もご覧ください。