Spotifyで今なお人気の高い、岡田有希子の名曲「二人だけのセレモニー」。春の訪れを感じさせるアップテンポなメロディーの中に、実は高度な音楽的テクニックが隠されていることをご存知だろうか。今回は、作曲家・尾崎亜美氏へのインタビューを通して、この曲の誕生秘話に迫る。
転調の魔術師、尾崎亜美の挑戦
「二人だけのセレモニー」は、卒業式後の恋人同士の特別な時間を描いた、甘酸っぱい青春ソングだ。しかし、この曲の特徴は、随所に散りばめられた転調にある。一見軽快に歌いこなしているように聞こえるが、実際に歌ってみるとその難易度の高さに驚く。
尾崎氏自身も、「実験」のような感覚で転調を取り入れていると語る。転調は曲の雰囲気を劇的に変化させるため、歌い手によっては敬遠されることもある。しかし、岡田有希子の歌唱力と表現力に絶対の信頼を置いていた尾崎氏は、あえてこのチャレンジングな楽曲を提供したのだ。彼女の「作家のカン」が見事に的中し、「二人だけのセレモニー」は岡田有希子の代表曲の一つとなった。
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若き作詞家、夏目純との運命的な出会い
「二人だけのセレモニー」の作詞を担当したのは、後に「最後の雨」(中西保志)などのヒット曲を生み出す夏目純氏だ。当時、尾崎氏のラジオ番組のリスナーだった夏目氏の言葉のセンスに惚れ込んだ尾崎氏は、彼に作詞を依頼。岡田有希子の歌声と夏目氏の詞の世界観が見事にマッチし、名曲が誕生した。
尾崎氏によれば、夏目氏は自身よりも大人の恋愛を表現することに長けていたという。若き才能の開花を後押しした尾崎氏の慧眼もまた、「二人だけのセレモニー」の成功に大きく貢献したと言えるだろう。
尾崎亜美の音楽的探求は続く
「オリビアを聴きながら」(杏里)、「天使のウィンク」(松田聖子)など、数々の名曲を世に送り出してきた尾崎亜美氏。常に新しい表現に挑戦し続ける彼女の音楽的探求は、これからも多くの listener を魅了し続けるに違いない。
「二人だけのセレモニー」は、単なるアイドルソングではなく、作曲家と作詞家、そして歌い手の才能が奇跡的に融合した、時代を超える名曲なのだ。ぜひもう一度、この曲に耳を傾け、その奥深さを味わってみてほしい。