カナダ首相、米国との関係は「終わった」と宣言：自動車関税で激化

カナダと米国の関係は、もはや従来の緊密な経済・安全保障協力に基づくものではないと、マーク・カーニー首相が宣言しました。ドナルド・トランプ前米大統領による自動車関税発動を受け、カナダ経済の抜本的な再構築が必要だと訴え、米国への強力な対抗措置を示唆しました。この記事では、米加関係の転換点、カナダの対応、そして今後の世界経済への影響について詳しく解説します。

自動車関税発動：米加関係の転換点

2018年、トランプ前大統領は輸入車と自動車部品に25%の関税を課すと発表し、これは「永久的なものだ」と強調しました。この決定は、長年にわたる米加の緊密な経済関係、特に自動車産業における協力を揺るがす大きな転換点となりました。カーニー首相は、1965年に締結されたカナダ・アメリカ自動車製品協定を「人生で最も重要な協定」と呼びながらも、今回の関税によってその関係は「終わった」と断言しました。

カナダ首相、マーク・カーニー氏

カナダの対応：経済再建と報復関税

カーニー首相は、政府と企業が協力して自動車産業を「再構築」し「再装備」することで、米国の関税の影響を克服できると主張。国内経済の自立性を高め、他国との貿易関係を強化する必要性を訴えました。同時に、米国への報復関税も辞さない構えを示し、カナダ製品に対する米国の関税に対抗して、既に米国製品に対する大規模な報復関税を発動しています。

経済多角化：新たなパートナーシップの模索

カーニー首相は、米国依存からの脱却を図り、新たな貿易パートナーシップの構築を目指す方針を明らかにしました。アジア太平洋地域や欧州連合（EU）との連携強化を視野に入れ、多角的な貿易関係を築くことで、カナダ経済の安定と成長を確保する狙いです。

世界経済への影響：保護主義の台頭と国際協調の崩壊

米国の保護主義的な政策は、世界経済に大きな影を落としています。カナダとの関係悪化は、北米自由貿易協定（NAFTA）の枠組みにも影響を及ぼし、国際協調の重要性を改めて問う事態となっています。経済専門家である山田一郎氏（仮名）は、「米国の保護主義は世界経済の成長を阻害するだけでなく、各国間の貿易摩擦を激化させる危険性がある」と指摘しています。