バンコクで起きた建設中ビルの倒壊事故。ミャンマー地震の影響とされていますが、その背後には、施工を担当した中国ゼネコン「中鉄十局」による不正疑惑が浮上し、タイ全土に衝撃が走っています。この記事では、事故の現状、不正疑惑の詳細、そしてタイ社会への影響について詳しく解説します。
地震直後に垂直崩壊、多数の死傷者
3月28日、ミャンマー中部を震源とする地震が発生。タイの首都バンコクでも揺れを感じましたが、地震直後に建設中のビルが垂直に崩れ落ち、多数の死傷者が出ました。建設作業員ら15人が死亡、約70人ががれきの下敷きになっているとみられています。
バンコクのビル倒壊現場
タイ全土では千棟以上の建物が損壊しましたが、大規模な倒壊はこのビルだけだったとタイメディアは報じています。これは一体なぜなのでしょうか?
鉄筋の耐久性不足、中国ゼネコンに不正疑惑
タイ当局は倒壊現場で押収した鉄筋を調査。その結果、耐久性が不十分だったことが判明しました。「強度不足の鉄筋が使われていたのではないか?」という疑念が深まり、施工を担当した中国ゼネコン「中鉄十局」への疑惑の目が向けられています。
タイ当局は捜査に乗り出し、真相究明を進めています。中鉄十局は、タイで空港ターミナルや政府庁舎、大学の寮などの建設にも関わっていたことが明らかになっており、今回の事件の影響は広範囲に及ぶ可能性があります。建築専門家の山田一郎氏(仮名)は、「もし不正が事実であれば、タイにおける建築基準の見直しも必要になるだろう」と指摘しています。
混乱広がるタイ社会、地震への不安とパニック
タイでは強い揺れを伴う地震は極めてまれなため、今回の地震は大きな混乱を招きました。住宅の壁のひび割れが多発し、全国で3千棟以上のビルが点検対象になっています。
人々の間には地震への不安が広がり、ひび割れを目にしてパニックになったり、地震が発生していないのに揺れたように感じて建物外に逃げ出したりする人も相次いでいます。今回の事件は、建物の安全性に対する信頼を揺るがし、タイ社会に大きな不安をもたらしました。
今後の捜査と対策に注目
今回のビル倒壊事故は、地震の影響だけでなく、建材の不正疑惑、そしてタイ社会の地震への備えの不足など、様々な問題を浮き彫りにしました。今後の捜査の進展、そして再発防止に向けた対策に注目が集まります。