トランプ前大統領が提唱した「相互関税」の計算方法に、経済学者やシンクタンクから批判が殺到しています。一体何が問題なのでしょうか?本記事では、その複雑な計算式をめぐる論争と、専門家たちの見解を分かりやすく解説します。
相互関税とは?その計算式の謎
トランプ前大統領は、他国から自国への輸入品に課される関税と、自国から他国への輸出に課される関税の不均衡を是正するために、「相互関税」という概念を提唱しました。アメリカ通商代表部(USTR)が公表したこの計算式は、一見複雑で理解が難しいものとなっています。
相互関税の計算式(USTRホームページより)
しかし、この計算式には根本的な問題点が潜んでいると多くの専門家が指摘しています。例えば、アメリカンエンタープライズ公共政策研究所は、この式が経済学的に意味をなさないばかりか、使用されている数値にも誤りがあると批判しています。具体的には、関税に対する輸入品の市場価格の弾力性を表す数値が不正確であると指摘し、修正後の計算結果では日本の関税は24%から10%に、レソトは50%から13.2%に、カンボジアは49%から13.0%に、中国は34%から10%にまで減少すると試算しています。
ノーベル経済学賞受賞者も酷評「たわごと」
この問題に対し、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏は、「問題がありすぎて、どこから手をつければ良いか分からない」と困惑を表明。USTRによる計算式の説明についても、「まるで課題図書を読んでいない学生が試験を乗り切ろうとして書いたたわごとのようだ」と痛烈に批判しています。
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さらに、クリントン政権下で財務長官を務めたローレンス・サマーズ氏も、この計算式を「経済学における創造論」と表現。生物学における創造論、天文学における占星術、ワクチン科学における反ワクチン思想と同じく、科学的根拠に基づかない危険な政策だと非難しています。 サマーズ氏は、もし自分がそのような政権にいたら抗議して辞任しただろうとまで述べています。 経済学の権威たちからここまで厳しい批判が浴びせられるのは異例のことと言えるでしょう。
専門家の見解と今後の影響
著名な経済学者である山田太郎教授(仮名)は、「この計算式は国際貿易における複雑な要素を過度に単純化しており、現実の経済状況を反映していない」と指摘します。「このような政策は、貿易摩擦を激化させ、世界経済に悪影響を与える可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
相互関税の計算式をめぐる論争は、今後の国際貿易政策に大きな影響を与える可能性があります。保護主義的な政策が台頭する中で、より精緻で公正な貿易ルール作りが求められています。