人生における大きな試練、ステージ4のがん宣告。まさに青天の霹靂、ロシアンルーレットの引き金を自ら引いたかのような衝撃でした。言葉にならない恐怖に襲われながらも、立ち上がらせてくれたのは家族の温かい支えでした。今回は、がん闘病中の私がどのようにして前向きな気持ちを持ち続けられているのか、その理由を綴りたいと思います。
家族の温もり:心の支え
子どもの頃、母がよく読んでくれた「北風と太陽」の寓話を思い出します。冷たい北風ではなく、温かい太陽が旅人のコートを脱がせたように、家族の温もりが私の心を包み込み、孤独感から救ってくれました。「何かあったら言ってくれ」「俺にできることはないか?」と、何度もかけてくれる家族や友人、元同僚の言葉は、どれほど私の心を支えてくれたことでしょう。
家族写真
12年前、前立腺がんを患った際には、重粒子線治療という先進医療の恩恵を受け、比較的スムーズに回復することができました。仕事に忙しく、孤独を感じる暇もありませんでした。しかし、今回のステージ4は違います。主治医からは「寛解はない」と告げられました。つまり、生涯がんと共生していく必要があるのです。
だからこそ、家族のサポートは計り知れません。献身的に支えてくれる妻や家族の存在は、まさに「第二のがん患者」と呼ばれる所以でしょう。留学中の孫たちからは、ニューヨークやロンドンから温かい励ましのメールが届きます。彼らの存在が、私の心の支えであり、安らぎとなっています。
夫婦の絆:同志愛
闘病生活が始まって以来、妻との関係はかつてないほど良好になりました。いつもは些細なことで喧嘩ばかりしていたのに、今ではまるで同志のようです。恋愛から夫婦愛へ、そして同志愛へと変化していく関係。これは私の人生で初めての経験であり、かけがえのない宝物です。
夫婦で散歩
友人からの励まし:経験の共有
友人知人からも、温かい言葉や励ましをたくさんいただきました。特に、がん経験者からのSNSでの情報共有は、本当にありがたいものです。「がんサバイバーの会」代表の山田さん(仮名)は、「同じ経験をした者同士だからこそ分かり合えることがある。一人で抱え込まず、周りの人に頼ってほしい」と語っています。経験者の言葉には重みがあり、彼らのアドバイスは私の大きな力となっています。
友人から送られてきたがんに関する書籍も、大変参考になりました。例えば、「がんと共に生きる」(仮題)という本は、がん治療の最新情報や患者さんの体験談が分かりやすくまとめられており、心の準備を整える上で役立ちました。これらの情報を通して、日本のがん治療の現状や課題についても学ぶことができました。
前を向いて生きる
ステージ4のがん宣告は、私の人生における大きな転換点となりました。しかし、家族や友人の支え、そして多くの情報に触れることで、前向きな気持ちで闘病生活を送ることができています。がんと共に生きることは容易ではありませんが、一日一日を大切に、希望を持って生きていきたいと思います。