財務省は、一部私立大学の教育内容が義務教育レベルに留まっているとして、私学助成の見直しを提言しました。この動きは、高等教育の質の向上を目指すと同時に、財政支出の効率化を図る狙いがあると見られています。
財務省、一部私大の教育内容を問題視
2025年4月15日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会において、財務省は一部私立大学の授業内容に疑問を呈しました。具体的には、四則演算や方程式の取り扱い(数学)、現在形と過去形の違い(英語)といった、義務教育で学ぶべき内容が大学で教えられている例を挙げ、教育の質の低下を指摘しました。これらの事例は大学の公開情報から抽出されたとのことです。
財務省と文科省の議論
私学助成金、教育の質に応じた配分へ
財務省は、「メリハリを強化していくべきだ」として、現状の学生数や教職員数に基づいた私学助成金の配分方法を見直すよう提言しました。大学を評価する認証評価制度を改革し、教育内容の質や人材育成の成果に応じて助成額を決定する仕組みに転換すべきだと主張しています。2024年度の私学助成金は約2860億円にのぼり、588校の私立大学に配分されています。
文科省は「粗い考え」と反論、多角的な評価の必要性を強調
文科省は財務省の主張に対し、「目指すべき方向は同じ」としつつも、「定員割れや基礎的な内容の授業があるからといって、教育の質が低いとは限らない」と反論しました。学力の成長度や進路実績など、多角的な評価が必要であると指摘し、財務省の主張は「一面的で粗い考え方だ」と批判しました。例えば、地方大学では地域ニーズに合わせた基礎教育に力を入れている場合もあり、単純な比較はできないと主張しています。 教育評論家の山田花子氏(仮名)も、「学生の多様なニーズに対応するため、大学教育も多様化している。基礎学力の底上げが必要な学生もいることを考慮すべきだ」と述べています。
今後の議論の行方
文科省も、地域を支える人材育成を重視した助成金配分の方向性については検討を進めています。今後、両省間で更なる議論が交わされる見込みです。私学助成金配分方法の見直しは、日本の高等教育の質向上に大きな影響を与える可能性があり、今後の動向が注目されます。