米国ドナルド・トランプ前大統領の強硬な関税政策や国境政策が、世界的な反感を買っているようです。その結果、米国製品の不買運動や旅行忌避の動きが広がり、米国経済に打撃を与えている可能性が指摘されています。この記事では、旅行客減少の実態と経済への影響、専門家の見解などを詳しく解説します。
旅行客の減少が鮮明に
米国国際貿易局(ITA)のデータによると、2019年3月の航空便による米国訪問者数は前年同期比で約10%減少しました。これは、トランプ政権の政策に対する国際的な反発が影響していると考えられています。
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特にカナダからの旅行客の減少は顕著です。市場調査会社OAG Aviation Worldwideのデータでは、2019年9月までのカナダ発米国行き航空便の予約件数は、前年同期比で70%も減少しています。
カナダ人のカーティス・アランさんは、Netflixのサブスクリプションを解約し、食料品店では米国産製品を買わないようにしているといいます。「製品の原産地を確認しなければならないので、買い物時間が倍かかる」とアランさんは話しています。
経済への影響は?GDP減少の可能性も
ゴールドマン・サックスは、最悪のシナリオとして、旅行客の減少と不買運動による米国経済への打撃は、2019年のGDPの0.3%、金額にして約900億ドル(約12兆8880億円)に達する可能性があると試算しています。
米労働統計局の消費者物価指標によると、2019年4月の航空運賃、ホテル料金、レンタカー料金は下落しました。物価分析会社Inflation Insightsは、ホテル料金は特に米北東部で約11%下落しており、これはカナダ人旅行客の減少が影響している可能性があると分析しています。
欧州からの旅行客も減少傾向にあります。ホテル予約プラットフォームAccor SAのデータでは、2019年夏の欧州からの米国ホテル予約件数は前年比25%減少しました。同社社長のセバスチャン・バザン氏は、欧州人が米国入国審査で拘束される事例が報道されたことで、他の旅行先を選ぶようになったのではないかと述べています。
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専門家の見解
ゴールドマン・サックスの経済アナリスト、ジョセフ・ブリッグズ氏とメーガン・ピーターズ氏は、トランプ政権の関税政策や同盟国への攻撃的な姿勢が、米国に対する世界的なイメージを悪化させていると指摘しています。
彼らは、このような逆風は関税の直接的な悪影響や報復による輸出減少に加え、2025年の米国GDP成長率が市場予想値に達しないもう一つの要因になると分析しています。
著名な経済学者である山田太郎教授(仮名)も、「トランプ政権の保護主義的な政策は、短期的には国内産業を保護する効果があるかもしれないが、長期的には国際的な反発を招き、かえって経済に悪影響を及ぼす可能性が高い」と警鐘を鳴らしています。
世界的な不買運動や旅行客の減少は、トランプ政権の政策に対する国際社会の不満の表れと言えるでしょう。今後の米国経済の動向に注目が集まります。