小泉進次郎農水相「備蓄米放出」成功アピールの裏で…現場の消費者から不満続出

石破茂首相が政権浮揚の切り札として登板させた小泉進次郎農水相(44)。就任間もなく、備蓄米の随意契約による放出がメディアでは好意的に報じられ、滑り出しは順調に見える。しかし、実際の現場では、消費者の厳しい声やさまざまな問題が山積している。特に、安価な備蓄米を求める人々が行列をなす一方で、多くの人が購入できない現状がある。

小泉進次郎農水相「備蓄米放出」成功アピールの裏で…現場の消費者から不満続出

備蓄米に行列、しかし手に入らない現実

5月31日、千葉県松戸市では朝から冷たい雨が降る中、アイリスオーヤマ系列のホームセンター「ユニディ松戸ときわ平店」に備蓄米を求める人々が長い列を作った。5キロ税抜2000円という安価な価格に惹かれ、午前7時過ぎには既に多くの客が集まっていた。65袋分の整理券配布は午前8時、販売開始は午前9時の予定だったが、午前6時頃には規定人数に達したという。中には前日夜から並んだという人もおり、備蓄米を巡る騒動の過熱ぶりがうかがえる。

小泉進次郎農水相「備蓄米放出」成功アピールの裏で…現場の消費者から不満続出

流山市から来たパート業の女性(54)は、息子さんと共に午前5時半から並んだ。「普段はブレンド米ですが、週1~2回しか食べられません。パスタや麺類でやりくりしています。備蓄米が2000円は嬉しいですが、去年の春よりは高い。でも、銘柄米は5キロ5000円もするので飛びつきました」。

一方、整理券を逃した初老の男性は憤りを隠せない。「朝から来たのに、備蓄米は買えなかった。他の米は2キロ3000円(編集部注・同店では低温製法米秋田県産あきたこまち無洗米2キロ税抜3390円)。これは無理。マスコミは小泉大臣にこの現状を伝えてくれよ!」。消費者の間には、安価な米が手に入りにくいことへの不満が広がっている。

大臣の「成功アピール」と現場のギャップ

同じ日、小泉農水相は地元・神奈川県横須賀市で開かれた横須賀市長の市政報告会に出席。備蓄米販売について聴衆に向け、「5月31日に(販売が実現)できたのは多くのみなさんの協力のおかげ。私が方向性を示したら、国民生活が苦しい中、少しでも協力しよう、何ができるかということを(企業側が)考えてくれている」と語り、自身の貢献を強調し満足げな表情を浮かべた。

翌6月1日には都内の大型店を立て続けに視察した。品川区の「イオンスタイル品川シーサイド」訪問後は、担当者から説明を受ける様子の動画などをXに投稿し、積極的にアピールに余念がなかった。さらに午後には東京競馬場で行われた第92回日本ダービーの表彰式にプレゼンターとして登場し、場内から大きなどよめきとともに「シンジロー」「コメー」といった歓声が上がったのである。

テレビなどでは大臣の主導による備蓄米放出が評価されているように見えるが、現場では依然として多くの消費者が安価な米を手に入れられず、不満を募らせている。大臣の政策アピールと、物価高に苦しむ国民の厳しい現実との間には、大きな隔たりがあるようだ。

まとめ:必要なのは現場の課題への真摯な対応

小泉進次郎農水相主導で進められる備蓄米の市場放出は、物価高に苦しむ消費者にとって一筋の光となるはずだった。しかし、限られた供給量に対する需要の高さ、そして依然として高い全体の米価が、多くの人々にとってこの恩恵を遠いものにしている。大臣の政策アピールは続くが、現場の厳しい現実と消費者の不満に真摯に向き合い、より実効性のある対策が求められている。

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