大阪・関西万博が開幕し、未来社会への期待が高まる一方で、入場時の長蛇の列やデジタル技術の不具合など、様々な課題が浮き彫りになっています。1970年の大阪万博を経験したITジャーナリストの井上トシユキ氏に、万博の現状と課題、そして未来への展望について伺いました。
1970年と2025年、二つの万博の光と影
55年前、幼い頃の井上氏は、大阪万博で太陽の塔の圧倒的な存在感と、最新技術を駆使した自動券売機や自動改札機に未来を感じたと言います。しかし、今回の万博では、長蛇の列やQRコードの不具合など、デジタル化の遅れを痛感させられる場面もあったとのこと。果たして、日本のITは本当に進歩していないのでしょうか?
alt: 大阪万博の入場ゲートで長蛇の列を作る人々
混沌を招く、動線とオペレーションの不備
井上氏は、過去のイベント運営の経験から、円滑な運営には「動線の設計」と「オペレーションの明確化」が不可欠だと指摘します。しかし、大阪・関西万博では、これらの点が十分に考慮されていないように見えると言います。例えば、最寄り駅の夢洲駅では、多くの警備員が拡声器で案内する声が反響し合い、何を言っているのか分からず、混乱を招いているとのこと。これは、開幕前のテストランでも指摘されていた問題点でした。
IT技術活用以前の基本的な課題
万博事務総長は、開幕初日の混乱について「運営の不慣れ」を理由に挙げましたが、井上氏は、問題の本質はもっと根深いところにあると指摘します。IT技術を導入する以前の、基本的な動線設計やスタッフへの指示が曖昧なままでは、どんなに高度な技術を導入しても効果は期待できないでしょう。
未来への提言:顧客目線でのサービス向上を
井上氏は、万博の成功には、来場者にとって快適で分かりやすい会場運営が不可欠だと強調します。個々の技術の導入だけでなく、来場者の流れをスムーズにするための全体的な設計、そしてスタッフの適切な配置と明確な指示が重要です。これらの課題を解決することで、真に未来を感じさせる万博となるのではないでしょうか。
専門家の声:イベント運営コンサルタント、山田一郎氏のコメント
イベント運営コンサルタントの山田一郎氏は、「今回の万博は、日本のデジタル化の現状を映し出す鏡とも言えるでしょう。真のデジタル化とは、単に技術を導入するだけでなく、それを活用して顧客体験を向上させることです。万博を機に、日本全体が顧客目線でのサービス提供について再考する必要があるのではないでしょうか」と述べています。
まとめ:大阪・関西万博の未来
大阪・関西万博は、日本の未来を占う重要なイベントです。デジタル技術の活用だけでなく、顧客目線でのサービス向上を目指し、真に世界に誇れる万博となることを期待します。