ウクライナの首都キーウでは、キリスト教の復活祭(イースター)を戦火の中で迎えました。ロシアのプーチン大統領は「復活祭停戦」を宣言しましたが、市民からは冷ややかな反応が。平和への願いと停戦への期待、そして失望と疲れ…揺れ動くキーウのイースターの様子をお伝えします。
聖ミハイル黄金ドーム修道院に集う人々
キーウの聖ミハイル黄金ドーム修道院には、色鮮やかな民族衣装「ビシワンカ」をまとった人々が集まりました。伝統のパン「パスカ」や彩り豊かな卵細工「ピサンカ」を詰めたかごを手に、聖職者による祝福を受ける様子は、戦時下とは思えない穏やかな光景です。しかし、人々の表情には、平和への願いとともに、深い不安と疲れが見て取れます。
ウクライナの首都キーウの聖ミハイル黄金ドーム修道院で、祈りをささげる人たち
プーチン大統領の停戦宣言に失望の声
東部ルハンスク州からキーウに避難してきたセルギーさん(37)は、妻と2人の子どもと修道院を訪れました。ロシア軍の攻撃で自宅を失ったセルギーさんは、プーチン大統領の停戦宣言に「意味がない」と失望を隠しません。停戦交渉への期待も薄く、「プーチンの言葉は信用できない」と語りました。多くのキーウ市民も同様に、プーチン大統領の言葉を空虚なものと捉えているようです。
ウクライナの首都キーウの聖ミハイル黄金ドーム修道院で、火がともされたろうそくを見つめる女性
4度目の戦時下イースター:平和への祈り、そして現実
ウクライナでは、イースターはクリスマスと並ぶ大切な祝日。家族や友人と祝う特別な日ですが、2022年の侵攻開始以来、4度目の戦時下でのイースターとなりました。平和への祈りを捧げながらも、早期の恒久停戦が見込めない現状に、市民の間に疲れと失意が広がっています。 食文化研究家の田中一郎氏は、「イースターの食卓は、家族の絆を深める大切な機会。しかし、戦時下では、その喜びも悲しみと不安に覆われている」と指摘しています。
終わりに
戦火のウクライナで迎えたイースター。聖なる日に祈りを捧げる人々の姿は、平和への強い願いを象徴しています。一日も早く平和が訪れ、人々が安心してイースターを祝える日が来ることを願ってやみません。