歌舞伎界の未来を担う若き二人の役者、五代目尾上菊之助丈と長男の七代目尾上丑之助丈が、それぞれ八代目尾上菊五郎、六代目尾上菊之助を襲名。2024年5月の襲名披露公演に続き、先月31日には東京・神田明神で盛大な「襲名披露のお練り」が行われ、多くの歌舞伎ファンが祝福に駆けつけました。同日夜には、都内ホテルで華やかな「襲名を祝う会」が催され、その様子はまさに歴史的瞬間となりました。
1500人のゲストが集う祝賀会
祝賀会には、高円宮妃久子さまをはじめ、小泉純一郎元首相、松本幸四郎丈、尾上松緑丈、俳優の長谷川博己氏など、各界から1500人ものゲストが顔を揃えました。会場となったのは、都内ホテルで最も広い宴会場。昭和48年、同じホテルで七代目菊五郎の襲名祝賀会が開催された際には1200人ほどが出席したと言われており、今回の盛況ぶりはそれを上回るものとなりました。
alt="尾上菊五郎襲名披露宴の盛況な様子"
歌舞伎関係者によると、八代目菊五郎は七代目と共に壇上に上がり、「懸命に精進し、歌舞伎の魅力を世界にお伝えしていきたい」と力強い挨拶を述べたとのこと。母である富司純子さんと妹の寺島しのぶさんも出席し、感慨深げに見守る姿が印象的でした。
二人の菊五郎が織りなす新たな歌舞伎の歴史
400年以上の歴史を誇る歌舞伎界において、初めて二人の「尾上菊五郎」が同時に存在することになります。七代目菊五郎は、八代目襲名発表の際に「七代目をまっとうする」と明言しており、親子二代が同じ名跡を名乗り活躍するという、新たな歴史の幕開けに期待が高まります。
富司純子、銀幕のスターから歌舞伎役者の妻へ
八代目菊五郎の母であり、元女優の富司純子さん。芸名「藤純子」として映画やテレビドラマで活躍し、東映の看板女優として一世を風靡しました。父は東映のプロデューサーとして名を馳せた俊藤浩滋氏。彼が手がけた『緋牡丹博徒』『日本女侠伝』などの映画シリーズは大ヒットを記録し、富司さんも主演としてその人気を支えました。
alt="若かりし頃の富司純子"
NHK大河ドラマでの出会い
富司さんと七代目菊五郎(当時は四代目尾上菊之助)の出会いは、昭和41年放送のNHK大河ドラマ「源義経」。富司さんは静御前役、七代目菊五郎は主役の源義経を演じました。当時流行していたボウリングを撮影の合間に楽しんでいたというエピソードも残っています。交際は順調に進み、放送終了頃には結婚を決めていたそうですが、東映の看板女優であった富司さんの結婚は容易ではなく、父の俊藤氏から「3年待ってくれ」と懇願されたといいます。そして、出会いから6年後の昭和47年3月に晴れて入籍となりました。
未来へ紡がれる歌舞伎の伝統
八代目尾上菊五郎と六代目尾上菊之助の襲名は、歌舞伎界にとって大きな節目であり、新たな時代の幕開けを象徴する出来事です。二人の活躍が、日本の伝統芸能である歌舞伎の未来を明るく照らしてくれることでしょう。