16年ぶりのステージ復帰を果たした歌姫、中森明菜。大分で開催された「ジゴロック2025」でのパフォーマンスは、多くのファンにとって待望の瞬間でした。小室哲哉とのコラボレーション、往年のヒット曲「愛撫」や「TATTOO」の披露…彼女の復活は大きな話題を呼び、年末の紅白出場への期待も高まっています。しかし、その輝かしい復活の裏には、一抹の不安も見え隠れします。
復活の陰に潜む課題：歌声の変化と未来への展望
中森明菜ジゴロック2025出演時の様子
ジゴロックでのパフォーマンス、そして昨年話題となったジャズアレンジの楽曲を聴くと、かつての鋭い歌声、きらめくような表現力は失われているように感じます。音程の不安定さ、リズムのズレ…これは単なる年齢による衰えとは言い切れない、歌に関わる体の動きの不調和が原因かもしれません。音楽評論家の佐藤一郎氏（仮名）も、「年齢を考慮しても、声帯や呼吸のコントロールに課題が見られる」と指摘しています。
もちろん、16年間のブランク、そして様々な経験を経てきた中森明菜が、以前と同じ歌声を披露することは難しいでしょう。しかし、だからこそ、新たな可能性が見えてくるのではないでしょうか。
中森明菜の新たな境地：歌謡曲の枠を超えた表現への挑戦
往年のヒット曲を歌うことが難しいのであれば、59歳という年齢、そしてこれまでの経験を活かした、新たな音楽表現に挑戦してみてはどうでしょうか。例えば、晩年のマリアンヌ・フェイスフルやレナード・コーエンのように、”語る”ことに重きを置いた音楽。言葉、歌詞を丁寧に紡ぎ出し、空間を活かしたサウンドと演奏で表現する。力強い歌唱が難しいのであれば、それを逆手に取り、新たな魅力へと昇華させるのです。
料理の世界でも、旬の食材を活かすように、音楽にもその年齢、その時期にふさわしい表現方法があります。アイドル歌謡をジャズ風にアレンジするだけでは、真の進化とは言えないでしょう。むしろ、外見だけを成熟させたように見せかけることで、過去のイメージとのギャップが生じ、違和感につながってしまう可能性があります。
音楽ジャーナリストの田中美咲氏（仮名）は、「中森明菜は、独自の表現力を持つアーティスト。過去のヒット曲にとらわれず、今の自分に合った音楽を追求することで、新たなファンを獲得できるだろう」と述べています。
結論：進化し続ける歌姫、中森明菜への期待
ジゴロックでのパフォーマンスは、かつての歌姫の完全復活を期待していたファンにとっては、複雑な思いを抱かせるものだったかもしれません。しかし、中森明菜は今もなお、進化し続けるアーティストです。過去の栄光にとらわれず、新たな音楽表現に挑戦することで、さらに輝きを増す可能性を秘めているのではないでしょうか。今後の彼女の活動に、大きな期待を寄せたいと思います。
