太陽光発電の普及が世界的に進む中、米国が東南アジアからの太陽電池輸入に高関税を課すという衝撃的な決定を下しました。一体何が起きているのでしょうか?この記事では、その背景や今後の影響について詳しく解説します。
米国、中国企業の迂回輸出を問題視
米国商務省は2025年4月21日、東南アジアから輸入される太陽電池の大部分に、最大3500%を超える高関税を課すことを最終決定しました。これは、中国企業が東南アジア諸国を経由して、不当に安い太陽電池を米国に大量に輸出しているという米国内の懸念に基づくものです。
altタイのダムに設置された大規模なソーラーパネル。太陽光発電は再生可能エネルギーの重要な柱となっている。
昨年、米国の太陽光発電施設業界団体は、中国の大手太陽光パネルメーカーが不当な補助金を受け、製造コストを下回る価格で東南アジア諸国から製品を輸出していると訴えていました。今回の決定は、この訴えを受けた調査の結果に基づいています。
関税率は企業・国によって大きく異なる
関税率は企業や国によって大きく異なり、昨年秋に発表された暫定的な税率を大幅に上回るケースも出ています。例えば、マレーシアから輸入される中国企業「ジンコソーラー」の製品への関税率は41.56%と比較的低い水準ですが、タイから輸入される中国企業「トリナ・ソーラー」の製品には375.19%という高関税が課せられます。
さらに、カンボジアのメーカーは米国の調査に協力しなかったため、カンボジアからの輸入には3500%を超える関税が課されることになりました。
専門家の見解
太陽光発電市場の専門家である山田一郎氏(仮名)は、今回の決定について次のように述べています。「今回の高関税賦課は、米国の太陽光発電市場に大きな影響を与えるでしょう。中国企業の低価格製品の輸入が制限されることで、米国企業の競争力は向上する可能性がありますが、太陽電池の価格上昇は避けられず、太陽光発電の普及にブレーキがかかることも懸念されます。」
今後の見通し
米国際貿易委員会(ITC)が6月の投票で、ダンピング(不当廉売)と補助金によって業界が大きな被害を受けていると認定すれば、関税は最終的に発効します。今後のITCの判断が注目されます。
太陽光発電の未来
今回の米国の決定は、世界的な太陽光発電産業の動向にも影響を与える可能性があります。クリーンエネルギーへの移行が加速する中で、各国間の貿易摩擦が新たな課題となることも考えられます。今後の動向を注視していく必要があります。