ウクライナ紛争の終結に向けた重要な協議がロンドンで開催される中、米国務長官アントニー・ブリンケン氏の欠席が波紋を広げています。和平案をめぐる米国の姿勢に、ウクライナ側から強い反発が出ているのです。
ブリンケン国務長官の欠席と和平案の行方
23日にロンドンで予定されていたウクライナ和平協議に、ブリンケン米国務長官が欠席することが明らかになりました。国務省報道官は「物流上の問題」を理由に挙げていますが、その裏にはウクライナ紛争の和平案をめぐる複雑な情勢が隠されているとみられています。米国からは、ケロッグ・ウクライナ担当特使が出席する予定です。
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この協議は、先週パリで行われた米英仏独の当局者による会合の続きとして位置づけられています。パリでの会合では、トランプ前政権時代に提案された和平案の枠組みが議論されましたが、その内容がウクライナ側の反発を招いているのです。
クリミア問題が和平の壁に
関係者によると、米国の和平案には、2014年にロシアが併合したクリミア半島に対するロシアの支配を承認する内容が含まれているとされています。また、前線での停戦も盛り込まれているとのことです。
このクリミア半島の支配承認は、米国が長年維持してきた政策を大きく転換するものであり、ウクライナにとって受け入れ難いものです。ゼレンスキー大統領は22日、ロシアとの協議には前向きな姿勢を示しつつも、クリミアの支配承認は憲法に反するとして、断固拒否する姿勢を明確にしました。
専門家の見解
国際政治アナリストの佐藤一郎氏は、「クリミア問題はウクライナにとって主権と領土保全に関わる重大な問題であり、妥協は極めて難しいだろう。米国が一方的にロシアの支配を承認することは、ウクライナの信頼を失墜させ、地域情勢の不安定化につながる可能性がある」と指摘しています。(※佐藤一郎氏は架空の人物です)
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ブリンケン氏の欠席が意味するもの
ブリンケン氏の欠席は、和平案をめぐる米国内の意見の相違や、ウクライナとの関係悪化への懸念を反映している可能性があります。今後の協議の行方は不透明さを増しており、国際社会の注目が集まっています。
ブリンケン氏は、英国のクレバリー外相とは「生産的な対話」を行ったとしており、後日、英国とウクライナと改めて協議する意向を示しています。しかし、クリミア問題という大きな壁を乗り越えられるかどうかは、依然として不透明な状況です。