トランプ米大統領が5日、日米経済協議で合意した日本の5500億ドル(約81兆円)に上る対米投資について、「野球選手の契約金のようなものだ」と発言し、米国が自由に扱える資金であるとの認識を示したことで、日米間の認識の相違が鮮明になりました。これは日本側の見解とは大きく異なっており、同日から訪米中の赤沢経済再生相は、この発言の真意について改めて説明を求める方針です。
トランプ氏の「契約金」発言の真意
トランプ大統領は5日に行われた米CNBCのインタビューで、「日本からの5500億ドルの契約金は私が手に入れた。我々が好きなように投資できる資金だ」と明言しました。この発言は、日米間で行われた関税措置に関する協議合意において、日本が米国へ投資する金額として示された5500億ドルの位置づけに対する、米国側の強い主導権を示唆するものです。実際、日米関税協議の合意に関する米側の発表には、この5500億ドルが「米国の指示で日本が投資する金額」と記載されています。
日米経済協議合意後の発言で波紋を呼ぶトランプ米大統領(5日)
日米双方の発表に見られる認識の相違
一方、日本政府の発表では、この5500億ドルは政府系金融機関による出資、融資、融資保証を合計したものであり、金融支援の「大枠」を示したものであるとの認識が示されています。さらに、日本側の見解では、実際の出資額は総額のわずか1~2%程度にとどまる見込みであり、トランプ大統領が言及したような「自由に扱える資金」とは、その性質が大きく異なると言えます。この見解の相違は、今後の日米経済協力において、双方の期待値のずれが生じる可能性を示唆しています。
日本側の懸念と今後の対応
5日にワシントン近郊に到着した赤沢経済再生相は、記者団の取材に応じ、トランプ大統領の発言に対し、「少なくとも日本のメリットにならないことは協力できない」と強い姿勢で釘を刺しました。しかし同時に、「米国の意向も踏まえないといけない」との配慮もにじませており、日米間の複雑な力関係の中で、日本の国益を最大限に確保しようとする姿勢が見て取れます。赤沢経済再生相は今後、米国側に対し、5500億ドルの対米投資に関するトランプ大統領の発言の真意と、日米間の認識のすり合わせを行うための具体的な説明を求めていくことになります。
トランプ大統領の「契約金」発言は、日米経済協議の解釈に新たな複雑さをもたらしました。日本の対米投資の真の目的と運用方法について、今後も両国間の緊密な調整が不可欠です。この問題は、今後の日米関係、特に経済協力のあり方において、重要な焦点となるでしょう。
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