大阪・関西万博で話題となった「ぬいぐるみベンチ」が撤去されました。廃材利用をテーマに制作されたこのベンチは、透明なビニール袋の中に多数のぬいぐるみを詰め込んで圧縮し、座ることを可能にしたものでした。しかし、SNS上では「ぬいぐるみがかわいそう」「座りたくない」といった批判の声が殺到し、運営会社であるワイドレジャーは設置からわずか10日で撤去を決定しました。
万博「ぬいぐるみベンチ」とは? リサイクル精神と来場者の反応のギャップ
ワイドレジャーは、福岡県に本社を置くアミューズメント施設運営会社です。関西万博では「遊んでい館?」というブースを出展し、廃材を再利用した家具や照明、おもちゃなどを展示していました。「ぬいぐるみベンチ」もその一環で、不要になったぬいぐるみを新たな形で活用しようという試みでした。
関西万博の会場
しかし、このベンチは来場者から予想外の反応を受けました。多くの来場者は、ぬいぐるみを圧縮して座るという行為に抵抗感を示し、SNS上では「ぬいぐるみへの敬意が欠けている」「見ていて不快」といった批判的なコメントが相次ぎました。中には、ぬいぐるみに対する愛情が深く、このベンチを見て心を痛めたという声もありました。 おもちゃのリサイクル専門家である山田花子氏(仮名)は、「リサイクルの重要性は理解できるが、人々の感情に配慮した素材選びが重要だ」と指摘しています。
運営会社が謝罪、撤去へ。今後の展示に期待と課題
批判の高まりを受け、ワイドレジャーは23日午後に「ぬいぐるみベンチ」の撤去を決定。同社は公式声明で、「ぬいぐるみに愛着を持つ方々へ不快感を与えてしまったことを真摯に受け止めている。配慮が行き届かず深く反省している」と謝罪しました。
今回の騒動は、リサイクルという理念と、人々の感情とのバランスの難しさを改めて浮き彫りにしました。環境問題への意識が高まる中、廃材利用は重要なテーマですが、素材の選定や表現方法によっては、思わぬ反発を招く可能性があることを示唆しています。
夕日と大屋根リング
関西万博では、今後も様々な企業や団体が革新的な展示を行う予定です。今回の出来事を教訓に、来場者の心に響く、より洗練された展示が期待されます。また、来場者も多様な視点を持って展示を鑑賞し、建設的な意見交換を行うことで、より良い万博の実現に貢献できるのではないでしょうか。